感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
OjohmbonX
3
蓮實重彦の批評を読むことは、作品や作家がまるで異なる相貌で生まれ直すのを目撃する体験が約束されるということだ。主題の統一性やその意義の指摘などが徹底的に作品の言葉に沿って進められた先に、ふいにそれらが統合されて作品として結実する様が示される。このスペクタクルを目にするともはや作品をそうとしか読めなくなる。でも実際は後書きで書かれるように、これは発見されて事足りる真実ではなくて、優れたフィクションが常に網から免れ続ける性質の上に成り立つ一つの創造なんだ。その意識の上で書かれるからこそかえって真実味を帯びる。2013/11/13
hatohebi
1
作品を、作者の人生に即した出来事の報告や、折々の随感を述べたものとしてでなく、連続する言葉の運動として読む。考えてみると、筆者の専門とする映画だけでなく、音楽のような時間芸術もまた、耳に届くのは今発する音だけだが、過ぎ去った部分の主題と呼応し、発展や変奏を認めることが興奮を生む。「暗夜行路」や藤枝静男・安岡章太郎の作品全体を通して、筆者は「細部と細部との思いがけぬ微笑や反発」によって作り出される「言葉そのものの固有の磁場」(p.180)を素描していく。2023/01/22
HiRaNo
0
空間か!? と思いつつ エーケルの話とか 掘り起こ死 結構良2013/11/08