内容説明
味覚への探究を文明批評にまで高めた著者の食に関するエッセイを収録。食談を軽蔑する知的偽善者に一矢を報いた『最後の晩餐』ほか。
目次
詩と洋酒
シャンパンについて
バーテンダーの初歩心得
アンゴステュラ・ビターズのこと
酒に想う
カクテル・ワゴン
トマトジュースかウィスキーか
ピンからキリまで
お酒を呑みます
紳士の乳〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
大西正志
3
題名のイメージとはちょっとちがい、古今東西南北の食と酒にまつわるエッセイ集というかウンチク集、独特のねちこい文章。人肉喰いにまつわる史実、猿の頭の妙味から正統派サケの食べ方に至るまで幅広い。酒に関しても同様、「本物のアブサン」の話など今の時代ではついていきかねるものも多数だが面白い。なにせ、収録されたウンチクは、1955年年前後から80年前後に及ぶのであるので。ベトナム戦争時の体験に基づく作品から著者のファンなのだが、焼け跡派であることと自身の形成を記した文章は胸を打たれた。物好きの読む本ではあるが。2019/02/10