内容説明
核戦争による世界の破滅をSF的に描く『エスキモー』、現代の精神的混迷にあえぎ、自ら第二の処女作とする『夏の闇』ほか。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あかふく
2
短篇「エスキモー」から『夏の闇』までで、6巻収録作品よりも前の作品も含まれている。「エスキモー」や「生者の去るとき」、少し穿って『夏の闇』を見ると何が「善」で何が「悪」かという問題を扱っており、それが相対的なものでしかないという所にいたる物語が集まっているように思われる。そういった、「正義」が絶対的なものに見えながら相対的なものでしかないという見方はパラドックスの意識と関わっている。すると「笑った」などの自己言及作のはじまりがこの時期にあることもパラドックスという視点から理解できるのではないか。2013/12/14