出版社内容情報
ドイツへ赴く潜水艦の孤絶の闘いと、大型飛行艇墜落をめぐる謎――。『深海の使者』『海軍乙事件』『総員起シ』ほか収録。語注付き。
戦史の表に現れることのない壮絶な闘い――。??戦争と日本人?の真実の姿。太平洋戦争下、途絶した日独両国を結ぶ連絡路を求め、連合国制海権下の大西洋に向う潜水艦の孤絶の闘いを描く『深海の使者』、昭和一九年、連合艦隊司令長官、参謀長らを乗せ、フィリピン海域で墜落した飛行艇。ゲリラの捕虜となった参謀長が持っていた機密文書の行方をめぐる謎『海軍乙事件』他を収録。軍隊・戦時用語注付き。
内容説明
戦史の“謎”が解かれた!機密文書の行方、潜水艦の孤絶の戦い…。日本人にとって最も切なく、最も重要な時代を作家は静かに描き続ける―軍隊・戦時用語注付き。
目次
深海の使者
読者からの手紙(抄)
総員起シ
立っていた人への手紙
或る夫妻の戦後
海軍甲事件
海軍乙事件
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ころりんぱ
49
「深海の使者」は制空権があやしくなってからのドイツとの行き来をしていた潜水艦の話、深海を自由に行き来しているのかと思いきや、何と危ない橋を渡っていたのか?!と感じました。息苦しかった。今も多くの潜水艦が海の底に眠っているのですね。「総員起シ」は読みやすく、潜水艦のサルベージの話。9年経って引き揚げられた潜水艦の中には9年前の沈没時の光景が。鳥肌がたちました。乗組員たちの遺書、ぎゅーっと心臓をつかまれる思いで読みました。なんていうか、ほんとに悲しかった。家族とこういう別れ方をした人たちがたくさんいたことが。2015/12/16
マウンテンゴリラ
4
過去の戦争を批判し、二度と惨禍を繰り返さない。これは、ほとんどの日本人が望んでいることだと思う。しかしそれ以前に、今や自身も含めその多くが戦後教育を受けてきた日本人が、怠って来たことがいかに重要なことであったか、ということを本書を始めこのシリーズ全般を通して痛切に感じさせられる。その重要なこととは、もちろん戦争を知ることであるが、"知る"ということの意味を根本的に考え直されることが、私の中では本書(本シリーズ)の最大の意義であると感じられた。史実を忠実に描いた記録文学に分類されるかと思うが、→(2)2017/02/08
たつや
2
先日読んだばかりの「総員起シ」の沈没した潜水艦の中の腐敗しなかった生ける死体の描写に震えた。全体的な構成も素晴らしい。後世に残すべき本ですね。2024/01/12
おい
2
サブタイトル通り、あまりメジャーでない話ばかりだが、どの話も興味深い。劣勢の中、先人たちが日本の勝利の為、凄まじい苦労をし、目的を果たそうとしたのか、平々凡々と暮らす私は自然に頭が下がる。 ★★★★2018/04/06
kiiseegen
2
「深海の使者」、「総員起シ」は潜水艦にまつわる話からか息が詰まる様な緊迫感がつきまとう・・・少し疲れを感じる程に。2015/11/11