新潮選書<br> 主戦か構和か―帝国陸軍の秘密終戦工作

電子版価格
¥800
  • 電書あり
  • ポイントキャンペーン

新潮選書
主戦か構和か―帝国陸軍の秘密終戦工作

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 249,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784106037313
  • NDC分類 396.21
  • Cコード C0331

出版社内容情報

太平洋戦争で早期講和路線を進めたのは、強硬かつ頑迷で悪名高い陸軍の中で秘密の工作活動を行った、非主流派将校たちだった!

戦争を強力に推進した主戦派の陰で戦局を横目に早期講和を模索した「参謀本部・戦争指導課」の奮闘。アジア太平洋戦争で終戦の地固めをしたのは、強硬かつ頑迷で悪名高い陸軍内で、極秘の工作活動を行った一派だった! 第二次大戦開始から戦争後期までドイツ軍の戦局に応じて立案された作戦の推移を追いながら、服部卓四郎率いる参謀本部作戦課と松谷誠の戦争指導課との対立を示し、「“陸軍一枚岩”観」を覆す、異色の終戦史。

内容説明

太平洋戦争で終戦への道筋を探ったのは、強硬頑迷で悪名高い陸軍内で、極秘の工作活動を行った一派だった!第二次大戦開始から戦争後期まで、ドイツ軍の戦況に応じ立案された作戦の推移を追いつつ、服部卓四郎率いる切れ者揃いの参謀本部作戦課と、三国同盟懐疑派が集まる松谷誠の戦争指導課の対立を示し、巨大な日本的組織が抱える構造的欠陥を明らかにする。

目次

序章 陸軍の虚像と実像
第1章 ドイツ頼みだった主戦派―一九三一年九月~一九四三年二月
第2章 戦局の転換と早期講和派の形成―一九四三年二月~一九四四年七月
第3章 中間派の形成と戦争終結―一九四四年七月~一九四五年八月
終章 戦争終結にむけて積極的に動いた陸軍

著者等紹介

山本智之[ヤマモトトモユキ]
1973年東京都に生まれる。1997年明治大学文学部史学地理学科(日本史学専攻)卒業。2007年明治大学大学院文学研究科史学専攻博士後期課程学位取得修了、博士(史学)。現在、明治大学文学部兼任講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

この商品が入っている本棚

1 ~ 1件/全1件

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ロッキーのパパ

13
太平洋戦争中に参謀本部戦争指導課に在籍した松谷誠を中心にし、陸軍の早期講和活動を解説している。通説では、ソ連を仲介した講和については、国際情勢を読めていないとの批判がある。しかし、本書では、講和受諾に向けて陸軍内部の地ならしをしたと評価している点が目新しい。ネットの情報によると、松谷誠はヤルタ会談でのソ連の対日参戦の報告を握りつぶしたとの噂もある。他の本にはそれは瀬島龍三がやったことと書いてあった。さて、実際はどうなのかな。2013/08/09

筑紫の國造

10
今まであまり触れられてこなかった戦争指導課の活動が主になっている。松谷の著書は少し前に読んだので、なかなか興味深かった。戦争指導課と言っても課長の松谷誠の活躍が目立ち、その他のメンバーはさほど目立っていない。陸軍が一枚岩ではなく、終戦に奔走したグループがある事を一般に知らしめた功績は小さくないだろう。ただ、陸軍の終戦派の影響力がそれほど大きかったかどうかは少し疑問も残る。個人的には本題以上に、戦後主戦派だった服部卓四郎のグループと松谷ら戦争指導課のグループの対立関係の方が面白かった。2018/05/03

エヌ氏の部屋でノックの音が・・・

8
割とスッと読めた。まあ細かいところの戦略は知らなかったが、陸軍は一枚岩ではなかったのは周知のことで、「バスに乗り遅れるな」って小題にすることかと。。。2017/04/30

バルジ

4
従来終戦に至るまで本土決戦一辺倒と見られていた陸軍の「早期講和派」に焦点を当てる。本書では服部卓四郎、松谷誠といった陸軍参謀本部の将校たちを軸に主戦派・中間派・早期講和派と分類。早期講和派の終戦構想が実際の政治的な展開とリンクしており終戦間際のソ連への仲介以来も元々は彼らが先に構想していたらしい。そしてそうした構想が持っていても陸軍中央に残された理由を、杉山元や梅津美治郎といった「便所の扉」とも揶揄される上層部の庇護があった事を論じ、従来定見のない実務型と見られていた杉山や梅津の意外な側面が垣間見える。2020/06/06

風見草

3
早期講和派の戦争指導課と主戦派の作戦部の対比だけでなく「中間派」を置く図式で、各派が中間派を取り込み梅津や阿南など中間派の首脳たちが最終的に講和を決定したというという流れで、主に早期講和派の松谷信周辺を中心に陸軍内部の終戦工作をたどる。情勢判断は中国大陸や太平洋ではなく独ソ戦を判断材料にしていたこと、中立条約のあるソ連に最後まで講和仲介を期待していたこと、陸軍内でなかなか講和を表明できなかった阿南や、戦後自衛隊において早期講和派が出世し一旦は遠ざけられた主戦派が冷遇された戦時を引きずった後日談も興味深い。2015/09/30

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/6829898
  • ご注意事項