内容説明
平安朝復古の熱き思いを実現しようと江戸期の人々が創り上げた記念碑・京都御所。江戸初期宮廷の栄華を偲ばせる仙洞御所。京都御苑に伝えられた二つの御所を、西川孟が端正に活写。
感想・レビュー
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chang_ume
7
「非権力性」と辻邦生がうかつにも評してしまった京都御所の性格を寛政度内裏以降に実現した〈復古〉の成果と理解しつつ、一方で現御所の構成はあくまで「江戸時代の技術による江戸時代のデザイン」と結論づけながら、紫宸殿の大きすぎる屋根と様式錯誤な軒下組物、そして清涼殿のバランスを欠いた小壁の高さなど、近世内裏の〈復古〉の実態を解説する。また寛政度内裏の再建事業に関して、裏松光世(固禅)の蟄居期間の再検討から主導権確保を求めた武家側の政治意図も読み取っていく。理解の一冊目にふさわしい。1993年刊。論考は西和夫。2021/09/17
ロバーツ
0
辻邦生エッセイ「実のなかの虚、虚のなかの実」所収。2024/03/31