内容説明
京助は燃えるような朱色が好きだった。言語学、アイヌ語研究の第一人者として知られる金田一京助。その素顔と生涯に迫る。
目次
序 ふるさとの山
1 歴史のはざまで
2 “アイヌ研究”とは
3 三つの節目
4 故郷の色
5 七男四女の長男
6 長男優先の教育
7 少年の日 剣道と水泳と
8 おしゅんさん 初恋
9 ふくべっこさんの啄木との出会い
10 南部の綺羅星たち
11 空白の3年間
12 上田万年先生
13 明治40年夏 樺太=サハリン単身調査旅行
14 模範的友情と『ローマ字日記』
15 結婚と友情
16 父の死
17 柳田国男との出会い
18 「虎杖丸の曲」の物語
19 知里幸恵との出会い
20 幸恵の上京
21 恩賜賞までの道程
22 『アイヌ叙事詩』の意味
23 ムーランルージュ通い
24 知里真志保との葛藤
25 蝦夷=アイヌ説
26 三省堂の目玉商品「中金」と「明解国語辞典」
27 天真の人 50年、長しみじかし
金田一京助年譜
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
柳田
7
藤本英夫さんの伝記二冊目。図らずも最後(最期)涙してしまった。やっぱり、貫徹した志みたいなものが伝わる生涯は魅力的である。 伝記にもいろいろな書き方があるのだなあとも思った。著者は関係者にもかなり取材を重ねていて、それに北海道出身で長らくアイヌ関係の研究を行われていた方だ。「このとき京助は二十六歳、啄木は二十二歳、大の男二人が、これほどほんとうに情緒的になれたのだろうか」とか、「しかし、啄木もそうだったろうか。啄木には計算があったのでは......。」とか、たまらなく面白い。次は『銀の降る降るまわりに』!2018/02/10