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睡蓮の教室

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  • サイズ B6判/ページ数 583p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784105900571
  • NDC分類 949.33
  • Cコード C0397

出版社内容情報

その池に、私は希望と哀しみを映した――。文革中国を駆け抜けた少女の愛。

文革後期の中国。再教育施設で母とともに過ごす水蓮は、収容された知識人たちから、学校では決して教えてもらえない歴史や英語を学ぶ。やがて北京の学校に戻った彼女は、貧しさゆえに蔑まれる級友を助け、ついには彼女を最模範生に押し上げるのだが――。欺瞞に満ちた社会を駆け抜けた多感な少女の愛と苦悩を描く巨編!

内容説明

1972年、文化大革命下の中国。12歳の水蓮は、母と暮らす地方の「再教育施設」で、ともに収容された知識人たちから学校では決して教えてくれないことを学ぶ。友だちのいない日々の慰めは、睡蓮の浮かぶ池のほとりで、カエルやコオロギに架空の講義をすることだった。やがて北京の学校に戻った彼女は、貧しさゆえに蔑まれる級友・張金を助け、彼女を最優等の地位に押し上げるのだが―。欺瞞と差別に満ちた時代を懸命に駆け抜けたふたりの少女。その友情と性のめざめを描く、野心的自伝長篇。ノニーノ国際文学賞受賞。

著者等紹介

ワン,ルル[ワン,ルル][Wang,Lulu]
1960年北京生れ。北京大学で英米文学を専攻。26歳のとき、オランダに渡る。以後、マーストリヒト大学で中国語を教え、翻訳業に励むかたわら、小説作法を学ぶ。1997年、『睡蓮の教室』で小説家デビュー。オランダでは異例の20万部を超えるベストセラーとなり、ノニーノ国際文学賞も受賞。その後6冊の小説を発表している。ハーグ在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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遥かなる想い

148
水蓮という女性を通して、文革時代の中国を描く。クラス 最下層に属する 貧困の友 張金との 友情が メインの展開だが、背後に見え隠れする 毛沢東を過剰崇拝する おかしな中国の 時代風景が 興味深い。 二人の友情の行く末は、ある意味 この時代の中国らしい…そんな印象の作品だった。2020/01/31

藤月はな(灯れ松明の火)

74
世界は決して平等ではない。風見鶏のように時勢を読まなければ、皆が即、密告者に変わった朝令暮改の文化革命を過ごした蓮。労改(インテリやブルジョワが投獄された監獄)でインテリ達から思想を吸収した蓮はクラスで蔑まれている金をクラスのトップにしようと考えるが・・・。自意識が強い文章にちょっと、辟易しつつ、潔癖さや愚かさには懐かしさを感じる。どんなに頑張っても階級が今のままなら、皆から蔑まれ続けるという事を知りすぎた金が行き着いた先が只々、辛すぎる分、自分の過ちも美化しすぎる蓮のエピローグに愕然とするのは酷だろうか2017/05/29

星落秋風五丈原

28
前半印象に残ったのは、収容所に暮らす個性的な大人達である。現実の歴史を教える事が、果たして水蓮のためになるのかと悩みながらも、真実の学問を教える事に力を尽くす秦先生。「“人に教えられてきたこと”と、“自分が知っていること”には、たいへんな違いがあるのだ。(中略)あるできごとの情報を自分であちこちから集め、自分なりの結論を出すことはできる。そこまでしてようやく、“その歴史についてわたしが知っているのは、これだけです”と言えるのだ。(p73)」2006/12/04

やまはるか

6
文革の中での生活を果てしない抑圧を押しのけて成長しようとする少女の瑞々しい目で語っているが、少女の生き方と言うより、労改で出会った年老いた知識人たちの生き方が印象的である。最下層に属していてどんなに努力してもいじめから逃れられなかった金が学友たちに仇を取ろうと一人蜂起して警察の介入で爆死したり、主人公の水蓮が校長に押し倒される終盤は何かの暗示かと思いながら読んだが全体からみて異質と感じた。2018/11/02

ndj.

6
14歳の少女の強烈な自意識に半ば辟易とし、脚色はされているのであろうが文革のばかばかしさに呆れつつ。多感な年齢の子らのむき出しの残酷さがよく表現されている。が、この終わり方はない…だろ…。2012/03/25

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