出版社内容情報
落葉(やつら)の喧騒が吹き荒れた後、この町には「死」がひとつ、重く虚しく残された……。
敵視と中傷にさらされたまま、男は死んだ。男をかばい続けた老人、老人の娘、娘の息子。男の棺を前にした彼ら三代の独白(モノローグ)が浮かびあがらせるのは、束の間の繁栄、永遠の荒廃、町が演じた悲喜劇。表題作はじめ、物語の可能性を手探りで確かめながら、生の明滅を凝視して、かの蜃気楼の町マコンド創造に至る、若き日の作品群。
内容説明
落葉の喧騒が吹き過ぎた町に、重く、虚しく残された「死」がひとつ。生の明滅を見つめて、物語の可能性をさぐり、かの蜃気楼の町。マコンド創造に至る、若き日の作品群。ガルシア=マルケス全小説、1947‐55年に発表された12の短篇と、長篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
186
「落葉」は、『百年の孤独』などに繋がっていくマコンドの初作。その草創期から衰退までを描く。3世代の人物が、それぞれに語るという手法をとっており、かなり難解な小説となっている。彼らが語るのは、ドクターの葬儀の場においてであり、物語には常に死の影が揺曳する。そして「死」と「失踪」こそが、この小説のキー・コードになっており、それらを巡って語りは螺旋状に時間軸を構成してゆくのであり、どこか迷宮めいた趣きさえ帯びる。マコンドでは、様々なことが起こり、そして結局は何も起こらなかったかのように衰微していくのである。2014/12/26
myao
34
★★★「先に『百年の孤独』を読んでからそれまでの作品に出合えば、読者は試作を読んでいるような印象を受けるのではないか」とマルケス自身は危惧しているが、表題作の『落葉』は確かに構成の未熟な部分を感じるものの、すでに処女長編からマコンドの設定、生と死、孤独、といったキーとなる部分は確立されている。落葉の集まる吹き溜まりのようなマコンドの村。繁栄と衰微。死の匂いが立ち込める。現実と現実の詩的変容が入り乱れ、読んでいる最中立っている場所を何度か見失った。2014/07/23
かわうそ
27
世界の果てのような町が滅びゆく姿が人間の死を取り巻くエピソードの積み重ねを通じて浮かび上がってくる表題作の構成は後の作品に通じるものが感じられる。全体を通じて比較的淡々としていて濃密さ・力強さといった点ではやや物足りないものの、当初は「落葉」の一章として構想されていたという「マコンドに降る雨を見たイザベルの独白」が非常に印象深い。2014/07/13
のりすけたろう
21
ガルシア・マルケスの初期の作品たち。怪しげな感じの話が多かったので、慎重にゆっくり読み進めました。、、、気づいたら、マコンドにいた。百年の孤独が頭の中で展開されながら読めて楽しめました\(//∇//)\✨2020/11/04
Jun_T(旧:Shima)
17
やっと読了。死が身近であったことは伺えるが、著者の時代背景を知らないと何も共感できない事が分かり、調べては読み調べては読みと、本筋から逸脱した行動をしてしまい一貫した感想をもてない結果になってしまった。勿体無い。しかもこの本、訳者がそれぞれ違う。訳者の力量がそのまま評価へと繋がっているようなので、原典を読んだ方がいい。ラテン語が分かればの話だが。百年の孤独を読んでからまた読んでみることにする。2011/05/27