内容説明
弁護士のサイモンは、友人の家で催されたパーティーの帰り、1人の女性ロウズを送らなければならなくなる。その道々、ロウズは自分の現状をサイモンに訴え、助言を求める。ロウズは離婚して3人の子供とつましく暮していたが、最近、前夫からロウズが子供の養育に不向きだという理由で、子供を自分の手元で育てる訴えが裁判所に提出されていた。お嬢さん育ちのロウズは、前夫の真意がつかめず、途方にくれていた。やがてサイモンとロウズの間に連帯感に似たほのかな愛が芽生えるが…。古風ともみえる伝統的な手法で描く女の人生。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
twinsun
3
絡む家族や友人もそれぞれだが藁をも掴む思いで一つ一つ自分の想いを叶えようとする努力や相手を思いやる行動の積み重ねが、ぬかるみを踏みしめ時に足を取られながらも見晴らしの良い海を臨む丘に臨むように少しずつ花開いていく。登場人物も多くこつこつと人間関係をメモリながら読み進める必要はあるがともに寝起きし悩み抜き自分の人生も振り返りそこそこに理解し合えたような充実した読後感があった。くたびれすぎない程度にくたびれた齢に響く物語だ。2023/01/30
ロピケ
0
サイモンは既婚子持ち女性ドラブルの理想の男性像であるかもしれない。サイモンが末娘ケイトと二人で散歩へ行く場面に、ドラブルの男性へのこうあってほしいという願望が伝わってくる。一見とっぴな行動をとる主人公ローズの性格や生き方も、彼女の理解者となるサイモンを配置することで、見事に読者に提示し、考えさせることに成功している。2009/06/02