出版社内容情報
世界は全て表象である。現在の原型たる明治の政治・経済・文学……あらゆるテクストを踏査する決定的大著。十余年に及ぶ知の集大成。
世界はすべて表象である――。執筆八年。知の決定的大著、ついに刊行! 表象とは、思考によって反復される「現在」である。近代の行政制度・法体系・歴史記述・イデオロギー・そして文学。太政官布告から教育勅語まで、博物誌から新聞記事まで、福沢諭吉から樋口一葉まで、明治期の言説アーカイヴの総体を横断的に俯瞰し、現代に直結する表象空間のダイナミズムを剔抉する21世紀の「知の考古学」。
内容説明
行政制度・法体系・言語システム・博物誌・イデオロギー、そして文学。太政官布告から刑法典まで、教育勅語から国語辞書まで、社会進化論から新聞記事まで、歴史記述から抒情詩まで、諭吉・兆民から一葉まで。明治の言説アーカイヴの総体を、徹底したテクスト読解を通じて横断的に俯瞰し、現在に直結する「表象空間」のダイナミズムを浮かび上がらせる知の決定的大著。
目次
「国体」という表象
第1部 権力と言説(予防―内務省と警察(1)
仁愛―内務省と警察(2)
定位―戸籍(1)
逸脱―戸籍(2)
網羅性―新律綱領・刑法(1)
有限性―改定律例・刑法(2)
抽象化―旧刑法・刑法(3)
混淆―漢文体(1)
アイロニー―漢文体(2)
プラグマティズム―福沢諭吉(1)
啓蒙―福沢諭吉(2)
演戯―中江兆民(1)
地滑り―中江兆民(2)
正論―中江兆民(3)
新旧―中江兆民(4)
暴力―中江兆民(五))
第2部 歴史とイデオロギー(科学―博物学(1)
外圧―博物学(2)
分類―システム(1)
秩序―システム(2)
例外―システム(3)
革命―システム(4)
条理―進歩史観(1)
優劣―進歩史観(2)
不徹底―進歩史観(3)
大勢―進歩史観(4)
天―天皇(1)
転移―天皇(2)
命令―天皇(3)
無比―天皇(4)
快楽―無意識)
第3部 エクリチュールと近代(牢獄―北村透谷(1)
内部―北村透谷(2)
欠如―北村透谷(3)
不可能―北村透谷(3)
奇蹟―樋口一葉(1)
狂気―樋口一葉(2)
婦徳―樋口一葉(3)
禽獣―樋口一葉(4)
過剰―幸田露伴(1)
怪物―幸田露伴(2)
離脱―幸田露伴(3)
リアリズム―幸田露伴(4)
現在―福地桜痴(1)
浅薄―福地桜痴(2)
情報―福地桜痴(3))
総括と結論(セリー1=理性;セリー2=システム;セリー3=時間;結論)
著者等紹介
松浦寿輝[マツウラヒサキ]
作家、詩人、仏文学者、批評家。1954年東京都生れ。1976年東京大学教養学部教養学科フランス分科卒業。1980年同大学院仏語仏文学専攻修士課程修了。1981年パリ第3大学にて博士号(文学)取得。2002年東京大学にて博士号(学術)取得。2012年東京大学大学院教授を退任。紫綬褒章受章。『冬の本』(青土社、1987高見順賞)、『吃水都市』(思潮社、2008萩原朔太郎賞)、『afterward』(思潮社、2013鮎川信夫賞)、『花腐し』(講談社、2000芥川龍之介賞)、『あやめ鰈ひかがみ』(講談社、2004木山捷平文学賞)、『半島』(文藝春秋、2004読売文学賞)、『平面論一八八〇年代西欧』(岩波書店、1994渋沢・クローデル賞)、『折口信夫論』(太田出版、1995三島由紀夫賞)、『エッフェル塔試論』(筑摩書房、1995吉田秀和賞)、『知の庭園一九世紀パリの空間装置』(筑摩書房、1998芸術選奨文部大臣賞)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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