生命と偶有性

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  • サイズ B6判/ページ数 247p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784104702039
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0095

出版社内容情報


世界は「わからない」から美しい――。生命の本質は、必然と偶然の間に横たわる「偶有性」の領域に現れ、それはまた意識の謎へとつながる。私が「私」であるのは必然か偶然か? 我々は自由意志によって因果の壁を乗り越えられるのか? 偶有性と格闘することで進化した人類の叡智を繙き、「何が起こるかわからない」世界と対峙する覚悟を示す。
『脳と仮想』から六年。脳科学者が本気の思索で掴んだ、新しい生命哲学。

内容説明

人類と偶有性の格闘の歴史をたどり、「何が起こるかわからない」世界と対峙する覚悟を示す、新しい生命哲学。

目次

第1章 偶有性の自然誌
第2章 何も死ぬことはない
第3章 新しき人
第4章 偶有性の運動学
第5章 バブル賛歌
第6章 サンタクロース再び
第7章 かくも長い孤独
第8章 遊びの至上
第9章 スピノザの神学
第10章 無私を得る道

著者等紹介

茂木健一郎[モギケンイチロウ]
1962年、東京生まれ。脳科学者。ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程を修了、理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を経て現職。「クオリア」(意識のなかで立ち上がる、数量化できない微妙な質感)をキーワードとして、脳と心の関係を探求し続けている。2005年『脳と仮想』(新潮社)で小林秀雄賞受賞、2009年『今、ここからすべての場所へ』(筑摩書房)で桑原武夫学芸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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踊る猫

27
確かなロマンティシズムを感じる。科学という客観が重視される世界の中において、茂木健一郎はもちろん豊富な研究データを引いて鮮やかに事態を分析しながらそこに独自の文学的感受性に裏打ちされた思索を走らせる。そこから見えてくるのは果たして「偶有性」を恐れない態度、不確かなものを見据える勇敢さだ。この態度は(決して笑い事ではなく)岡本太郎の「爆発」にも通じるものがあるだろう。その時その時にその場で出会ったものに驚き、そこから自らを解体し再構築する。私もそんな自己解体を行わなければ成長できないが、なかなか真似できない2023/01/20

みんと

10
人間は生きてゆく中で、常に安定性を求め、学歴を気にし、大手会社に就職したり、永遠と信じる愛を手にするため結婚という手段をとったりする。 しかし、生きている限り、偶有性の海の中を泳いでいるのと同じで、全てが変わってゆくし、最高の状態を保てる保証などどこにもないのである。 偶有性を直視し、認めた上で覚悟をするしかないのだ。安全、確実さを求め過ぎると、生命を育む空気であったはずの偶有性を失うことになる。 暗闇のなかであがき続ける私達の心の中にさまざまなクオリアが輝くことを期待し生きてゆくのだ。2010/11/06

anco

7
偶有性やクオリアをテーマに書かれたエッセイ。文学的な表現が素敵でした。2015/08/29

rikuem

4
深淵で暖かく、エッジの効いた文体は流石。生命の根源について、偶有性について語っていて、その文体も相まって理解することが出来る。読後、言いようのない感覚に捕われた。これがクオリアか。2010/09/17

Phycology

3
形が定まった状態ではなく、どこに向かうかわからない姿は、未分化であるがゆえの危うさを内包していると同時に、固まってしまっては失われる爆発的な生命の気配を伴っている。見知った領域から離れた精神の異界への飛躍を敢行しなければらならない。倦まずに、停まらずに。自らの存在を脅かされるときに、もっとも純粋な形で生の悦ばしき知識を得ることができるのだ。p55これも読む人が読めば役立つ本なんでしょうね。2011/08/13

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