内容説明
井伏鱒二、太宰治らがつどった家には、骨董も集まっていた。その家の主は青柳瑞穂―。美に憑かれたフランス文学者の生涯を、ピアニストである孫娘が検証する力作評伝。
目次
阿佐ヶ谷の家
光琳の肖像画
若かった日
ささやかな日本発掘
文学青春群像
阿佐ヶ谷会
とよの死
夜の抜穽
あっちとこっち
佐野乾山事件
日本のやきものの終着駅
水滴のおじさん
マルドロールの歌
感想・レビュー
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波 環
3
フランス音楽のピアニストとフランス文学の翻訳家の祖父のほのぼの物語を期待していたら違った フランス音楽のミルフィーユのように層があるのに形がわからないような恐ろしい美、作家の美意識を再構築していく演奏家や翻訳家の仕事の本質を祖父と自分の姿になぞらえて綴る タイトルにある乾山の焼き物について、美醜真贋を超えて祖父と自分をつなぐ何か、憎んだり避けたていた心をつなぎ直そうとする心の軌跡である それにしても骨董買いが酷すぎて貧乏で祖母である人が自殺した話は壮絶だった 孫にしか書けない究極プライバシー2018/02/18