出版社内容情報
エリート商社員の輝かしい未来を美しい悪夢が呑み込んでいく――一人の男の「夢」を通して近代日本の実像を暴き出す野心的現代長篇。
夢を見なければ人生の三分の一は空白だ。それは罪だと思わないか。「近ごろ、よく眠れるかい」久しぶりに再会した都築君はそう言って語り始めた。三代続くエリート商社マンだった彼の輝かしい人生を暗転させた美しい悪夢の数々、そしてその果てに見たこの国の本性を――。バブル全盛期、経済の最前線に立った一人の男の「夢」を通して近代日本の実像を描き出す、野心に満ちた長篇現代小説。
内容説明
あのバブルの夜、君はどんな夢を見ていた？経済の最前線で夢現の境を見失ったエリート商社マンの告解がいま始まる。近代日本の実像に迫る渾身の現代小説！
著者等紹介
浅田次郎［アサダジロウ］
１９５１年東京生まれ。１９９５年『地下鉄に乗って』で吉川英治文学新人賞を受賞。以降、『鉄道員』で９７年直木賞、『壬生義士伝』で２０００年柴田錬三郎賞、『お腹召しませ』で０６年中央公論文芸賞、０７年司馬遼太郎賞、『中原の虹』で０８年吉川英治文学賞、１０年『終わらざる夏』で毎日出版文化賞を受賞するなど、数々の文学賞に輝いている。２０１１年５月からは日本ペンクラブ会長を務めている（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ナイスネイチャ
220
図書館本。白い枕で寝ればいい夢を、黒い枕で寝れば悪い夢を見る。しかも過去のその土地の黒い歴史を見る。読んでいると夢の中なのか、現実なのかわからなくなります。変わった作品で賛否両論ありそうですが、私は面白かったです。2015/10/13
starbro
129
最近著作の多い日本の時代小説よりも、やはり浅田次郎は現代小説の方が良い気がします。夢が介在する不思議譚、中国での場面は、正に真骨頂です。十夜までは行きませんでしたが、浅田次郎版夢十夜として読みました。但し、バブル時代の設定は必ずしも必然性がなかったのではと思う次第です。 2015/03/02
Shinji Hyodo
88
浅田さんの描くタイムトラベル⁉︎ファンタジー…『白い枕』と『黒い枕』美しく優雅な夢を見るなら白い枕。黒い枕ならその逆に…。それなりに読み続けて、どれをとっても飽きない浅田さんの夢語り…祖父の代から3代が勤め上げる財閥系商社マンの『都築』が語る夢の出来事は幻なのか現なのか？スイス、パラオ、インド、北京、京都…それぞれの地で夢に現われるBlack or White？2016/05/20
あすなろ
87
貴方は白い枕、黒い枕のどちらを選びますか？見る夢はたかが夢。しかし、白い枕は美しい夢を見させ、黒い枕は悪夢になる。そして、何れにも恋人がいる。バブル期頃の商社群像を描きながら、様々な世界の都市を合わせ、夢を描く。正直、夢なので何を描きたかったのか分からないとこあり。しかし、浅田氏らしく洒脱な文書で、僕を白または黒の夢へ誘う。フロイト曰く、夢は抑制されたエモーションが正体と断ずる。それが本作の解答のヒントか。浅田氏の描いた夢を洒脱に漂わされた。007さん。愉しみました。北京の巻が一番印象に残りました、やはり2015/04/14
それいゆ
86
バブル当時のビジネスマンたちの奮闘記かと勘違いして読み始めたのですが、夢の話だったとは？架空の話は何とでも書けます。浅田さんが何を言いたいのか？意味不明の夢物語に付き合わされるのは御免です。浅田さんの作品は、「終わらざる夏」のように私にピタッとフィットするものもありますが、退屈な駄作もあり両極端です。2015/03/13
