内容説明
「私自身顧みて、罪万死に値する…」平成四年、衆議院予算委員会の証人喚問で竹下はこう述懐した。その“罪”とは何か。前妻の自殺、父との確執、野心と隠忍、「竹下王国」の錬金術、そして、金にまみれた秘書たちの死…。にこやかな仮面の下に、竹下は何を隠蔽してきたのか―。出身地・島根県に密かに伝えられる「タブー」をはじめ、“ホメ殺し”皇民党事件をめぐる衝撃の背景を明らかにする。
目次
1 暗く深き「業」
2 竹下グループの「手法」
3 野心と隠忍
4 パチンコと賭麻雀
5 秘書たちの悲劇
6 竹下王国の錬金術
7 皇民党事件の深層
8 闇の世界
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
funkypunkyempty
2
★★★★ “政治家”という人種は、一般人には到底理解出来ないとは思っていたが、その中でも竹下登の薄気味悪さは際立っている。秘書二人が自殺すること自体、理解の範疇を越えている。皇民党事件の詳細も20数年前にここまで明らかになっていたことに驚いた。2021/06/09
のん
1
「われ万死に値す」とは竹下登が野党議員によるリクルート事件追及の際に発した言葉である。この本は竹下登の抱える闇。前妻の衝撃的な自死、島根での露骨な利益誘導そして暴力団との関係。今でも政治の世界にはこうした闇はまとわりついているのだろうか。読了後、表紙の闇に浮かぶ竹下登の姿はとても不気味に見えた。2020/03/15
koishikawa85
1
今回初めて通読した。前妻が舅との関係に悩み自殺していたとか、皇民党事件の褒め殺しに佐川清がかかわっていた、とか知らなかったことが次々に出てきて読み物としては面白かった。ただ竹下の人間性については十分に描き切れていない。田中を裏切るところについてはあまり触れられていない。2016/03/21
月光密造者
0
最も衝撃を覚えたのは前妻の死に纏わる記載。薄暗い曇天の島根の山村を想像したのは、著者の筆力だろうか。好爺然とした顔の下に、深い闇を幾つ抱え込まねばならなかったのか。竹下登が魅力的な人物に感じられる。これも筆力だろう。一国の首相が暴力組織と取引した事実、モラル低下を衆目に晒した事実は変わらない。2010/08/08
打吹玉川
0
一地方都市の裏側で壮大な陰謀が繰り広げられていたことに驚嘆した。また陰謀を企む勢力が別の勢力の陰謀に巻き込まれて行く様は因果なものだと思った。竹下氏の秘書が同窓会誌に寄せた文章が印象深い。著者の綿密な取材に拍手。2022/08/03