内容説明
時は十四世紀半ば。イングランドとの百年戦争で劣勢に陥ったフランスに、救世主が現れた！幼き日に「天下に無二の人となり、未曾有の名誉を楽しまん」との預言を授かった男の名は、ベルトラン・デュ・ゲクラン。抜群の智略と腕力で向かうところ敵なく、その言動は奔放不羈。周囲を太陽のごとく照らしつづける英雄にも、生誕の時から背負った暗い翳があった―。フランス史上、最強の軍神と謳われる男の生涯を超一級エンターテインメント物語に描き上げた、剛腕の新鋭の大冒険長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
カナン
46
恩師から。ヴァロワ朝2（←ここポイント）だけ送られてきた時には「何故ここから？」と真顔で困惑したが、嗚呼、あれは英仏100年戦争用の簡単なガイドって扱いでしたか。どさくさ紛れて欧州史全部覚えさせようとしている恩師に震える。…欧州から中国史まではある程度網羅しているようだけれど、自分が一番調べたい国に関してはなかなか辿り着けないものだなーややこしいもんなー欧州(笑) あとソ連時代の衛星国に関してももっとがりごり攻めくれる資料が出て来てくれたら最高なんだけど。何せ資料がかなり偏ってて量もかなり少ないもんね…。2021/02/25
みさ
6
うーん…主人公が無敵の怪傑の上無垢の心を持っているので、欠点を描写されても人間的厚みがいまいち感じられない。無敵の主人公に劣等感を抱く弟の方がよほど読んでいて楽しい。あと黒太子が無敵主人公の引立て役になり、ここまで下げられるのもまた悲しい。筆力が高いフランス歴史俺TUEEE小説かなあと思っていたが、無敵主人公の死亡後の、無敵の夢から覚めていく最後の40頁は面白かった。やっぱり人間はこうだよね。2023/06/28
白城
6
圧巻の分量、しかも上下段。一方、項が細かく区切ってあるので、ちょっとした空き時間にも読み進められる。どなたかの感想にもありましたが、読んでいる最中、自分が物語の中に居るような妙な感覚を覚える。作中約30年を過ごし、現実の自分にも重なるところが感じられ、物語全体の雰囲気がとても味わい深く感じられました。男子は、楽しめると思うけど、女性はどうなんでしょうか2022/05/29
ぺぽかぼちゃ
5
100年戦争の軍神、デュゲクランの生涯を書いた名著。前半は「こんな格好悪いやつが主人公で大丈夫か？」と思うが、いつしか彼が傷付けば共に傷つき、彼の幸せを登場人物とともに心底願う自分に気付く。2019/05/10
A.yukari
5
佐藤賢一の代表作としてその評判を聞きながら、今まで読めていなかった本。タイトルからハプスブルク家関連の本だと思い込んでいたが、実際には中世末の英仏100年戦争の話である。代表作なだけあって読み応え十分。最近の品良く、こじんまりまとまっている物語も良いけれど、この作品のように、勢いと熱量のある物語が好きだなと思った。沢山の歴史資料を下敷きに、大胆に物語が進む。登場人物がみな人間くさくて、それがまた良い。私自身はルネサンス以降の近世が好きで、中世はあまり知識がないため、新鮮な気持ちで物語を楽しむことができた。2018/12/07
