海猫

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  • サイズ B6判/ページ数 541p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784104256020
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

[ストーリィ]
義弟との許されぬ愛にすべてをかけた、母。痛みを胸に抱きながらも、恋に目覚めてゆく、ふたりの娘。光を求め、海鳥は凍てつく空をさまよう。風雪に逆らうかのように、ひとは恋という炎にその身を焦がしてゆく。函館、南茅部、札幌、女たちが心の軋むほどに求めた、運命の男は――。

[著者のことば]
子供の頃から何度も通った、海猫の白い翼が飛び交う街・函館を舞台に、長い小説を書きたいと願ってきました。
函館から川汲峠を越えて、南茅部という漁村の取材を進めるうちに、小説はロシアからの寒流を巻き込むかのようにうねっていきました。
長い時間がかかりましたが、ようやくここに刊行します。今は、少しでも多くの皆さんに、読んでいただけるよう祈っています。

内容説明

義弟との愛に、すべてをかけた、母=薫。痛みを胸に抱きながらも、恋に目覚めてゆく、ふたりの娘=美輝、美哉。光を探し、海鳥は凍てつく空をさまよう。風雪に逆らうかのように、ひとは恋という炎にその身を焦がす。函館、南茅部、札幌、女たちが心の軋むほどに求めた、運命のひとは―。谷村志穂の新生を告げる長編小説。

著者等紹介

谷村志穂[タニムラシホ]
1962年、札幌に生まれる。北海道大学農学部で動物生態学を専攻。90年、ノンフィクション『結婚しないかもしれない症候群』で、女性たちの支持をあつめる。91年、処女小説『アクアリウムの鯨』を発表
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

taiko

28
ロシアの血を引く娘薫が、漁師町に嫁入りした。 若い夫邦一とその家族との幸せな暮らしが始まるが、薫の気持ちを惑わす出会いがあった。 … 面白かった。 主語が突然変わるような、読みにくいと感じる部分もありましたが、それを忘れるほど夢中になりました。 薫の美しさが生んだ悲劇とその娘達へと繋がる物語。 親子三代の物語とは言え、朝ドラのような爽やかさはなく、どちらかと言うと、ドロドロした展開でしたが、最後は幸せが見えるような終わり方で良かった。 どこが仄暗い北の海、情景が目に浮かぶようでした。2022/02/13

タカギ

25
昔、読んだ気がしていたけど、読んでいなかった。映画は観た。伊東美咲。著者は「祖母と孫」という関係性に引かれているのかな。『いそぶえ』もそうだった。時代的にもちょっと泥臭いようなところを好んでいる気がする。映画は暗い悲恋ものだったけど、それは本書の前半部分だけだった。前半は壊れていく家族の様子がやりきれなくてとても恐ろしかった。薫の行動に一貫性がなくて私はずっと首をひねっていた。あと、「海猫の目がほしい」といって海猫の目を洗って集める少年も結構怖い。後半はその子ども世代の話で、少しは強く明るい感じもある。2023/04/04

鳴海

18
島清恋愛文学賞作品。女性の孤独を描く作品はとても好きで、期待値が高かったが、早々に主人公が自ら命を絶ったところで、読む意欲が半減してしまった。繊細で、愛され過ぎた宿命だったとしても、義弟と抜き差しならぬ関係を結び、二人の幼子を残して死を選ぶ身勝手さに、嫌悪感を拭えない。一方で、もう一人の主役とも言えるその母親の逞しさ、運命を全て懐に受け入れて生き抜く姿こそが、美しい。暗雲の歴史に溺れぬよう、命を繋げ前に進もうとする、残された家族が愛おしく、港町の風情や海猫の鳴き声が哀愁を帯び、背景を奥深くしている2022/06/29

さんつきくん

17
文庫化すると上下巻に別れる大作。第一章、第二章は透き通るような染み入る文体で描かれた、登場人物達が互いに不倫をする話だった。ロシア人の血が流れるクォーターの主人公・薫は道南の小さな漁村に嫁ぐ。夫の邦一は漁師。やがて子を授かるが、邦一は違う女に手を出してしまう。薫も邦一の弟広次と関係を持つ。やがて出産。二人目は広次の子だった。そして悲劇。第三章では薫の子で異父姉妹の美輝と美哉の話し。姉の美輝は大学生になり、恋を経験していく。美哉は精神的バランスを崩してしまう。所々海猫が鮮やかに舞う描写が効果的に挟まれている2017/04/18

なかしー

15
高校生の時に読了本。 映画視聴後に見たので、分量が多かったですが読みやすかった。 当時の記憶ではかなり濃密なベッドシーンで昼ドラを観てるようでした。

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