ふたりのゴッホ―ゴッホと賢治37年の心の軌跡

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  • サイズ B6判/ページ数 302p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784104139026
  • NDC分類 723.359
  • Cコード C0070

内容説明

ゴッホと賢治。敬虔な宗教心、猛烈な読書、弟妹への限りない愛情、傍系からの芸術指向、旅への狂おしい欲求、生前の不遇、貧困、そして三十七年の生涯―。余りにも酷似したふたりの人生とふたりの芸術とふたつの裸の魂。比類のない純粋な魂を宿した画家と詩人の心の内奥をたどる…。

目次

サン・レミへの旅
ふたつの幼年期の「空白」
歩く人

ゴッホのスケッチ帖
賢治の手帖
セロ弾きの「空白」
未知の土地―風景の解剖
ドレンテ1―二十二通の手紙
ドレンテ2―兄弟〔ほか〕

著者等紹介

伊勢英子[イセヒデコ]
1949(昭和24)年、札幌市生まれ。東京芸術大学卒。88年『マキちゃんのえにっき』で野間児童文芸賞新人賞、96年『水仙月の四日』で産経児童出版文化賞美術賞、他に絵本にっぽん賞、産経児童出版文化賞、赤い鳥さし絵賞など受賞多数。絵本原画展、アクリル画の個展が各地で開催され、好評を博している
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

けろりん

48
ゴッホと宮沢賢治。且て誰も描いたことのない風景を、全く新しい方法で表現した二人を、魂のふたごの様だと伊勢氏は感じる。共に37年の生涯。弟妹への狂おしい程の愛情と執着。憧憬と嫉妬、矛盾する感情を内包した伴走者、ゴーガンと中原中也の存在。この世の何処にも居場所を見出せない画家は、色彩とうねる筆遣いで叫んだ。語り部は、心に言葉の沃野と物語の国を育んだ。ひりつくような孤独、謙虚さと表裏一体の自尊心…。南仏、小岩井、彼らとの心の対話を続けつつ辿る旅路。間隙をスケッチで埋めようとする伊勢氏の姿に、三人目のゴッホを見る2019/03/23

ネギっ子gen

39
ゴッホと賢治。共に37年の人生。著者は書く。<彼らは生涯自分の中のもうひとりの自分と戦い続けた。自分の一部でありながら自分の手におえない自分、誰にも飼いならせない自分とはなにか? もうひとりの自分とは誰なのか。そしてふたりの心の飢えとは何だったのか>と。また、<得体の知れない求心力。吸引力/長いあいだ私の中に棲みついた彼らとの対話から書かずにはいられなかった私の中の「ふたり」の物語である>とも。こうした自問自答を繰り返しながら、著者は旅を続ける――。カバー装画も著者。画像が豊富で、巻末には参考文献多数。⇒2022/01/12

きりこ

36
【蔵書再読】37年の生涯を終えたゴッホと宮沢賢治。不遇な生い立ち、弟妹への愛情、貧困、敬虔な宗教心。比類のない純粋な魂を宿し余りにも酷似していると言う画家と詩人の足跡を辿った伊勢さん。二人は農土や鉱石、あるいは星や太陽や風に心を映し、自然と交感する才能を自分で育んだ。「欠けていたもの」(もらいそこなった愛)を探し続けた結果、画家となり詩人になったという。二人の生涯は永遠に見つからないものを求めひたすら歩き続ける孤独な旅だったが、思考を重ね想像力は増幅して「歩き続けた結果」を残してくれた。→2013/09/24

クラムボン

16
序に「生まれた国も時代もちがうが、ふたりはそっくりだった。」ゴッホと賢治。 私も彼ら二人からは、同類の人だけが持つ特異性、そして純粋すぎる心が周りに誤解を招く悲劇性を感じる。伊勢さんはゴッホについて、執拗に、とことん追いかけ廻している。そしてゴッホが入院していた精神病院の現院長へのインタビューの記事に及んでは、いささか冷静さも欠いている。しばらく頁をめくると、個人的な解釈として「ゴッホは精神病で無いのに、自らの意思で入院した結果、本当の病になった」 そこまで読んでやっと伊勢さんの執拗さが少し理解できた。2021/06/07

みこと

12
壮絶だった。理解者に恵まれず画家そして詩人であることでしか生きられなかったゴッホと賢治。ふたりの共通点がこんなにあったことも、こんなにも苦しみ抜いた人生だったことも、こんなにも観察力と想像力と分析力に溢れた人だったことも知らなかった。何となく作品に触れてきてぼんやりとした認識しかなかったのでかなり衝撃的だった。重かった。けれど読んでよかった。知ってよかった。ゴッホは狂人なんかではなかった。こんなにも大きな人だったんだ。2019/01/24

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