内容説明
父・定則から家督を継いだ菅沼新八郎定村は、いよいよ近づく戦の気配を感じていた。岡崎の松平家が倒れれば、定村の居城・野田城は瞬時に織田の兵に囲まれることとなる…一方、松平家の内訌は混迷を極め、城主の広忠は嫡男・竹千代を今川へ差し出す決意をするが―生き残りを賭けた諸豪族の思惑が錯綜する第三巻。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キジネコ
38
徳川の系譜安祥松平家9代。非業の続く家系にあって祖父・父亡き後の竹千代の出自が源流から描かれて三巻。物語にはもう一人の竹千代が… 二人がどの様に今後の物語、三河の覇権形成にかかわっていくのか?楽しみの焦点が漸く絞られてきた感が致します。風に傍観者の役割を与え、エピソードの連環に神話性を付与し英雄が戦国の世に起立する様が描かれます。昨年の大河の前夜的な物語、かの地の脈動を知る。作家の慎重な手探りが史実の綾織の目の隙から見えてきます。質として他家に移植された子や女達、力争の道具として動的平衡の分銅の役を担う。2021/06/03
藤枝梅安
26
非常に苦労して読んだ。なぜこうも読みにくいのか。一つにはこの作品がいわゆる「神の視点」から書かれており、読者はひたすら筆者の後を追っていくだけの受動的な「読書」に終始させられてることが問題。想像力を働かせることのない読書は、「終わらない徒労」に等しい。そして史実を追いながらの展開の中に「四郎」と彼に縁のある女性たちだけが創作の人物であり、他の登場人物との乖離が大きい。この三巻の結末はいかにも次巻への興味繋ぎ。残り二巻も手許にあるが、ここで中断します。2013/04/09
イエテイ
2
広忠主従と三河武士団の戦略戦術眼の無さと対比しての雪斎の戦略。三河の動乱と今川の伸長の巻でした。菅沼家の激震の向後にも期待。2023/01/01
めぐみこ
2
三河を巡る織田派・岡崎衆・今川派の戦、雪斎の出陣、竹千代の掠奪、菅沼家の内紛…事態はめまぐるしく変わってゆく。竹千代たちの尾張での人質生活が想定よりまったりで意外。だからこそ桶狭間後は織田についたのかと思った。定盈に絶体絶命のピンチで終わりとか、次の巻への期待が高まる。2017/02/06
勝部守
1
菅沼三兄弟の死は若さから来るのか…2013/03/29