神器〈上〉―軍艦「橿原」殺人事件

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  • サイズ B6判/ページ数 412p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784103912026
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

昭和20年、軍艦内で起きた変死事件の謎を解く鍵は、平成の日本に隠されていた!

探偵小説好きの青年が一兵卒として乗船した軍艦「橿原」には、「神器」がひそかに持ち込まれていた――。相次いで起こる変死事件、そして極秘の任務をめぐって錯乱する兵士たちの思いを運んで大海原を進む「橿原」の真の使命とは? 時空を超え、民族を超えたスケールの日本人論、戦争論が展開される、記念碑的純文学長編。

内容説明

昭和20年初頭、探偵小説好きの青年が上等水兵として、軽巡洋艦「橿原」に乗船した。そして艦底の倉庫でこれまで3人の変死事件があったことを知り、好奇心の蟲が騒ぎはじめる。「橿原」に隠された謎をめぐり憶測が飛交い、新たな変死事件は後を絶たず、艦内に不安が渦を巻き始める…。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ぐうぐう

22
昭和20年、軽巡洋艦「橿原」で起こる連続不審死。探偵小説好きの上等水兵・石目が事件の真相を探る、といった展開からスタートする『神器 軍艦「橿原」殺人事件』だが、そこは奥泉光のこと、むろん事は単純には進まない。呪われた5番倉庫、艦底の幽霊、不可解な客人、鼠と蛇、ドッペルゲンガーとロンギヌスの聖槍、そして双子の天皇、と数々の謎がとめどなく読者を襲う。いや、そもそも、軍艦「橿原」に課せられた、その使命とはなんなのか。戸惑う読者をよそに、奥泉は物語を現代へと繋げようとする。(つづく)2016/05/03

RIN

15
奥泉節炸裂作品、久々で歓喜!『グランドミステリー』『鳥類学者のファンタジア』みたく、眩暈がするような、立ち位置がわからなくなるような、時空の歪みに嵌り込んだような、そういうスタイルが結構気に入っている。昭和20年の軍艦内が舞台なのだが、軍人も兵士も実際はこんなだったんじゃないのかな~と、どこかホッとする。戦争で駆り出されただけで、それまでの仕事や暮らしぶりなどの日常がなかったかのような、美談仕立てや悲壮感使命感だらけの戦争小説に違和感を感じていたから。それにしても奥泉氏は読ませる文章が巧い!!2011/12/06

藤枝梅安

8
なんだか、とにかく不思議な話。この軍艦自体が時空を超えたタイムマシンのような存在。この中でなら何が起こってもおかしくない。読者にそういう魔術をかけた上巻。下巻ではその魔術がいよいよ効力を増すのだろうか。2009/04/27

ウィン

6
こんなにもジャンルの特定の難しい作品は今までに読んだことがない。そもそもこの作家の作品はどれも、これといってジャンルを特定することのできないものが多いのだが、今回もそのような作者の姿勢がはっきりと現れた作品になった。純文学かと思って読めば、ミステリもあるし、SFもある。内容に関しては、まだ上巻を読んだ時点では特に書くことはない。正直読んでいて分からないところも多いのだが、それでも決して読者を途中で投げ出す気にさせないのは、さすがの文章力。いまいち分からないながらも、少しずつ読み進めていきます。2010/12/29

ざれこ

6
皆さんのおっしゃる「艦底の○○○○」にいきなり度肝を抜かれつかみはOK、どこに連れてかれるか全くわかんない展開に翻弄されまくり。なんなのこれは。一人称と三人称が入り混じり、俯瞰しているような「超感覚的」語りは不思議と違和感なくリズミカルで心地よい。さて下巻が楽しみだな。ここまで先が読めない小説も珍しい。2009/06/25

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