内容説明
雫石の不倫相手、真一郎の協議離婚が成立した。新しい生活が始まろうとするその矢先、壁が立ち塞がる。それは、真一郎の亡き親友が残した美しい庭と、その庭を守り抜こうとする若く魅力的な義母の出現だった。真一郎の思いを見抜き悩む雫石。落ち込んだ自分を見つめ、自分が何に耐えられないのかを知ろうとする雫石の心の旅。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
113
シリーズ３作目で、物語はいよいよ‘まとめ’に入ります。ばななさん特有のどこか儚い雰囲気は本シリーズとおして、しっかりと描きだされ、読む側にまるで絵本を読んでいるかのような、不思議な感覚を与えてくれます。フワッと哀しく、シンと切なく、しかし小さな光を見つけ出すことで、一歩そして一歩と自分のペース、リズムで歩みだすそのライフスタイルに勇気をもらえます。他作品もそうですが、とにかく傷ついたココロの再生への旅を書かせたら、ピカイチですね、やっぱり。それでいて、読む側を落ち込ませない作風は「安定剤」モノです。2015/06/24
tokotoko
21
図書館に予約して、購入してもらった新品本！今日届いてすぐ読んだ。雫石ちゃんが恋人真一郎さんと暮らすことになり、家探しを始めるが、少しずつ本当の気持ちに気づいていく。また新たな再会も、雫石ちゃんの運命を変えていく・・・・。今作で、雫石ちゃんは子供から大人へ、また一歩進んでいく。最近自分が悩んでいたことと、少しつながる内容で、私も自分の子供っぽさ、身勝手さに気づかされた。雫石ちゃんと一緒に成長しなきゃ！そして、私も雫石ちゃんと一緒で、ジタバタしながら不器用に生きてる人が好きだ。きれいに生きてる人よりも。2013/06/15
あつひめ
21
ちゃんと・・・わかっているんだなぁ。２人の行く末みたいなものが・・・。ホームシックのように訳のわからぬ不安に押しつぶされていた時とは違う、自分を取り巻くもの、包み込んでくれるものがわかりかけている。楓＆片岡さんとの繋がりがより太くなっていく。失恋という人間臭い悲しみを味わったり・・・生きるって・・・都会でも山の中でもやはり人間臭さに触れることなのかな？？？楓＆片岡＆雫石の関係がだんだん丸くなってきたような気がする。2010/09/07
れいぽ
12
再読。初めて読んだときは「えー？別れちゃうのー？？」と思ったけど今回は「あー。別れるよねぇ。。。」と納得。縁というのは不思議なもので、そういう大きな流れに逆らってはいけないんだよなぁ。雫石と真一郎のゴールは高橋くんの庭だったんでしょうね。だから二人は別々の人生を歩み始めた。そのことは辛くても悲しくても切なくても、不幸なことではない。2010/08/31
れな@がんばれレバンガ
11
立ち直る過程の物語。なんでも誰でもそうだけど、傷付くのを恐れて誤魔化すと長期化したりもっと深く傷つくんだよね。辛くて逃げたくなるけどしっかり傷つく事は治りを早くする事が多い。だけど、配達屋さんの骨折の様に慌てて傷つくこともないのだよね。旅先で住んでいる気がするような思い出が心に残るという描写に頷く。片岡さんが男前。高橋くんの庭を見てみたい。☆3.42016/06/14
