内容説明
恋愛小説の名手・江國香織と浮世絵版画の匠・立原位貫が千年の時を超えて甦らせた日本の宝物「かぐや姫の物語」。
著者等紹介
江國香織[エクニカオリ]
1964年東京生まれ。1987年に「草之丞の話」で毎日新聞社「小さな童話」大賞を受賞して以来、「409ラドクリフ」でフェミナ賞、『こうばしい日々』(あかね書房、新潮文庫)で産経児童出版文化賞、坪田譲治文学賞、『きらきらひかる』(新潮社、新潮文庫)で紫式部文学賞、『ぼくの小鳥ちゃん』(あかね書房、新潮文庫)で路傍の石文学賞、『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』(ホーム社刊/集英社、集英社文庫)で山本周五郎賞、そして2004年に『号泣する準備はできていた』(新潮社、新潮文庫)で直木賞を受賞した。小説にとどまらず、児童文学、絵本の翻訳および創作、またエッセイなど幅広く執筆。その清新な感性と瑞々しい文体による作品群は、若い女性を中心に大きな支持を集めている
立原位貫[タチハライヌキ]
1951年名古屋生まれ。ジャズのサックス奏者として活動していたが、25歳のとき一枚の浮世絵に深く感銘を受けて転身。以来、江戸時代と同じ手法、絵の具、紙を独学で研究、再現し、それらを使って真の意味での浮世絵の復刻を成し遂げた唯一の画家である(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中
173
薄皮いち枚のそれを美しいといって永遠の愛を誓われても、どうして笑わずにいれるでしょう。貴方がたが私の何を知っていて、なにをもって愛しいと言うのか。愛の証明をしてみて。私に傅いて世界中の美しいものを差し出しなさい。なんて嘘。私の興味はそこにはないの。月を愛するように、ひとを愛せたらいいのに。すべて遠いくにの話のようで現実感がないのよ、ごめんあそばせ。2020/02/04
あつひめ
101
作家誕生日会参加。かぐや姫としての絵本に毛が生えた程度の物しか読んでいなかったので、改めて竹取物語と言う作品を書いた未詳の作者のすごさを感じた。もしかして、作者こそが未来人だったのではないかなんて。かぐや姫が罪の償いのためにこの地球にやってきていたとはそうだったのかぁ~と。そして翁に育てさせるためにこの地を選んだのかとフムフムと脳みそに刻み込んでいる自分が居る。長い年月語り継がれているSFチックな物語。他の作家さんの解釈とぜひ読み比べてみたくなった。立原さんの絵と原文もとても素晴らしいバランスだと思う。2013/03/21
おくちゃん🌸柳緑花紅
64
立原位貫さんの版画がなんといっても見事。美しく繊細で色使いも素晴らしい。今は昔 竹取の翁というものありけり 野山にまじりて竹をとりつつよろづのことに使ひけり・・・・江國香織さんの現代語訳も良かった。立原位貫さんの版画もっと観たい。2014/07/24
ぶんこ
52
現代の浮世絵師として、分業だった浮世絵師・彫り師・摺り師を一人で行った立原位貫さんの浮世絵に目をうばわれ、「物言わぬ絵たちの語る物語を、言葉にできたらどうなるのだろう。それが、この本の出発点でした。」とあとがきにありました。絵巻の文は難しすぎて私には理解不能だったので、江國さんの文によって楽しめました。覚えていた「かぐや姫」の物語とは印象が違って驚きました。帝との悲恋があったとは。立原さんの版画絵も、江國香織さんの文章も素敵で、薄い本でしたが堪能しました。2020/04/07
よこたん
50
“かぐや姫は罪を犯されたため、こうして賤しいお前の元に、ほんのしばらくいらしただけなのだ。” あれ?こんなにイラッとくる話だったかな。天の羽衣をまとった姫は、きれいさっぱり何もかも忘れて月へ帰って行くけれど、残された者の気持ちを思うと、月の天人の上から目線の言葉に何様のつもりよと熱くなってしまう。求婚者達も、決して手に入れられないとわかりながらも引くに引けない状態だったのだろう。月で犯した罪よりも、罪作りな思い出をのこして行ったかぐや姫。浮世絵の手法をいかした画が繊細なのにどこかゆるくて、でも美しい。2019/10/03