カデナ

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  • サイズ B6判/ページ数 434p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784103753070
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

あの夏、私たちは四人だけの分隊で闘った――。
ベトナム戦争末期、沖縄カデナ基地の中と外を結んで、巨大な米軍への抵抗を試みた四人だけの小さな「スパイ組織」があった。戦争という個人には抗いがたい現実と、それでも抗おうとするごくふつうの人たちの果敢な姿を、沖縄戦後史のなかに描きだす。著者の沖縄在住十余年の思索と経験のすべてが注ぎ込まれた傑作長篇小説。

内容説明

1968年夏。沖縄、アメリカ、ハノイ。フィリピンに生まれ、カデナの米軍に勤務する女性曹長フリーダ。サイパンで両親と兄を喪い、沖縄で一人戦後を生き抜いてきた朝栄。朝栄夫妻にかわいがられ、地元のロックバンドで活躍する青年タカ。朝栄のサイパン時代の旧友で、那覇で再会するベトナム人安南さん。―4人は、カデナ基地からの北爆情報を刻々とベトナムに伝える「スパイ」となる。だがそれはフリーダにとって、B‐52機長である恋人の大尉、パトリックを裏切る行為でもあった…。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

クリママ

52
先の戦争のノンフィクションを読んだ後だったので大丈夫だろうかと危惧したが、杞憂だった。1968年ベトナム戦争時の嘉手納。准将付の秘書官の女性、沖縄出身でサイパンへ渡り従軍した老人、バンドのドラムの青年。3人の視点で描かれ、その3人がある目的でつながっていく。大型爆撃機の搭乗員のこと、沖縄の風習なども興味深く読んだ。また、アメリカのごく普通の人は原爆をそのようにとらえているのかと思うと、今さらながら背筋の凍る思いがした。やや粘性のある文章にそこに生きる人の息遣いを感じ、やはり小説には大きな力があると思った。2021/08/30

きんてつ

24
ベトナム戦争時代。アメリカ嘉手納基地を中心とする平凡な4人がスパイとして繋がっていく。それぞれの事情がそれぞれを突き動かしていく。自然な流れで。2015/05/16

bfish

16
ベトナム戦争時代の沖縄での物語。単純な反戦だけでなく、登場人物の個人的事情に焦点を当てているのが面白かった。自らの血筋を終わらせる役目という朝栄さんの身の丈にあった生き方に共感する部分が多かった。沖縄と本国、日本とアメリカ、愛情と裏切りなど、いつもの池澤さんらしい二つの世界がテーマなんですね。パトリックとフリーダには幸せになって欲しかった。2015/06/11

アキ

13
本土復帰前の沖縄を舞台に、異なる背景を持つ4人がスパイ行為という形で共同して戦争に参加することで物語は動き出す。爆撃機B52のある機長の心に巣くう闇も重要な要素となって、ベトナム戦争下の沖縄・嘉手納から、第二次世界大戦下のサイパン島、フィリピン・マニラ、ヒロシマ・ナガサキまでが、いつしかひとつの線でつながっていく。愛国心、連帯、裏切り、家族など、掘り下げられるテーマも多く、そのすべてが「戦争」のある一面を理解するために収斂していくかに思えます。 2011/10/30

なおみ703♪

12
夏には必ず戦争と平和を考える書を読むと決めていて、しばらく積読だったこの角田光代さんのお薦め本を読了。戦争の見方について私に新しい視点が加わったと思う。思えば、私にとって戦後は太平洋戦争後だ。戦後の沖縄がどうだったかとか、ベトナム戦争のこととか、めったに想い馳せることもなかった。この書は生まれ育ち人種が異なる人々がでてきて、それぞれが悩み苦しむ。軽いタッチで話が進みながらも非常に重苦しいテーマでハラハラして一気に読んでしまった。愛国心とか、アイデンティティというより、正義とは平和とは考えさせられる。2018/08/30

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