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須賀敦子の方へ

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  • サイズ B6判/ページ数 285p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784103700029
  • NDC分類 910.268
  • Cコード C0095

出版社内容情報

人を愛し書物を愛し、忘れ難い作品を紡ぎ出した須賀敦子。家族。友。信仰。無垢な少女を類まれな文筆家たらしめた孤独の核心を辿る。

彼女は誰より深く孤独を味わい、だからこそ出会いは恩寵となった。カルヴィーノ、タブッキ、サバ、そしてユルスナール。人を愛し書物を愛し、たぐい稀な作品を紡ぎ出した須賀敦子。無垢な少女を信仰へ、遥かヨーロッパへと誘ったものは何だったのか。その言葉の示す意味をあらためて読み返す――。彗星のごとく登場し知と情熱をたたえた忘れ難い佳品を遺して去った、伝説の文筆家の核心を辿る。

内容説明

カルヴィーノ、タブッキ、サバ、そしてユルスナール。人を愛し書物を愛し、たぐい稀な作品を紡いだ須賀敦子。誘ったものは何だったのか。

目次

父譲りの読書好き―二〇一〇年冬・東京谷中、二〇〇九年夏・ローマ
激しく辛い追悼―二〇一〇年秋・兵庫県西宮市、小野市、東京東中野
「ぴったりな靴」を求めて―二〇一一年新春・東京麻布十番
「匂いガラス」を嗅ぐ―二〇一一年春・東京麻布、大阪中之島、二〇一〇年秋・東京雑司が谷
戦時下に描く「未来」―二〇一一年夏・川崎市登戸、東京白金
「曲りくねった道」の入り口で―二〇一一年晩夏・東京白金
遠い国から来た人間みたいに―二〇一一年冬・東京広尾
だれにも話せないこと―二〇一二年春・東京四谷
あたらしい生き方に向かって―二〇一二年夏・東京信濃町
「思想の坩堝」のなかで―二〇一二年秋・名古屋、東京白金
海の彼方へ―二〇一二年冬・東京三田、兵庫県西宮市、神戸市

著者等紹介

松山巖[マツヤマイワオ]
1945年東京生まれ。東京芸術大学美術学部建築科卒業。作家・評論家。著書に『乱歩と東京』(日本推理作家協会賞)『うわさの遠近法』(サントリー学芸賞)『群衆』(読売文学賞)、小説『闇のなかの石』(伊藤整文学賞)など。2012年建築学会文化賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

どんぐり

80
須賀さんと晩年に親交のあった評論家の松山巌氏が、「彼女が読み、彼女が綴った文章に登場する本を頼りにして、彼女のことを振り返ってみたい」と、須賀敦子さんの思い出を綴った本。須賀さんの日本での足跡をたどっており、評論とエッセイの中間に位置づけられる。須賀さんのもつ物語の「外面の流れ」と「内面の流れ」についての指摘もあり、なるほどと思う。海外での足跡に関しては大竹昭子さんが著した「ヴェネツィア」「ミラノ」「ローマ」3部作や岡本太郎さんの紀行文が断然に面白いが、この本もまた須賀さんの魅力を伝える一冊。 2015/06/01

kaoru

21
親交のあった松山巌氏による須賀敦子の前半生の伝記。阪神モダニズムの影響の濃い裕福な家庭に生まれ、東京の聖心女子大に入学。活発で知的、多くから愛された彼女だが、愛人のいた父が家を出るという家庭内の問題に苦しむ。18歳で入信したがカトリックの現実と理想のギャップにもがき、奉仕活動に力を注ぎつつも疑問を抱く。当時の同級生や武者小路公秀らの証言は貴重だし、有吉佐和子との交友にも驚いた。この類まれな女性の青春に数々の優れた人物が関わったのを知ることができた。様々な事実を丹念に洗い出してくれた松山氏に感謝したい。2019/06/09

ネギっ子gen

16
須賀敦子と共に旅し、彼女の言葉に、今一度、耳を傾けた書。印象に残った記述。<須賀さんの文章は、全部裏側に、神様に対する気持ちが秘められているのね、神様という言葉は使わないで、と三雲さんはいわれた。私には、聖書は人間に様々な試練を与えた記録に思える。須賀の生涯は多くの試練の連続である。それが神の試練なのかは、信仰に疎い私には判断できない。しかし神は同時に試練に耐える希望という感情も、人間に与えたのだろうと思う>。趣旨通り、本人が書いた文章を大量に引用しているのが、嬉しい。以下、その引用文を、さらに引用――⇒2020/12/04

ケニオミ

16
須賀敦子の本は当時熱心に読んでいた記憶があります。もう死後20年もたってしまったんですね。本書を読んで、須賀氏の生い立ちを今まで以上に理解することができました。やはり聖心でのキリスト教精神に基づいた学校生活が彼女の生き方に大きく影響を与えていたんですね。それを礎にして戦後の世界を生きた彼女が羨ましく感じました。そして、彼女の作品をもう一度読み直したい気持ちになりました。2018/04/18

tom

16
須賀敦子が作家として活動を始めたのは61歳のときとのこと。まさに、初老の星。でも、年を喰ってから何かを始めることができたとしたら、それは、それまでの蓄積があるからできることなのよね。そう考えると、62歳の私には、蓄積といえるものなんかまるでないから、今さら、何もできることがない。この本を読んで、これまでの生活をしみじみ自省することになってしまった。須賀さんの書く文章の緊張感は、若いときからの、いろいろな生活から産まれたものなのだと実感しました。それにしても、表紙の写真の、生き生きとした表情。いいなあ。2015/05/12

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