内容説明
はじめての自伝小説。郷里も友も恋も失った少年の心を映しだす31の情景。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
山口透析鉄
17
藤原新也氏の実父の件は時折本に出てきて、亡くなる前は要介護状態になってかなり大変だったようですね(旅行代理店に勤めていた実兄も癌でかなり苦しんでから亡くなったと聞いています)。 実家の旅館が没落して門司から鉄輪(かんなわ)に引っ越してからの話、本格的に書かれたのはこの本が初でしょうか。今までにも断片的には出てきていましたが。 藤原新也氏の独特なタッチの写真、私は好きですね。だいぶ後ですが、この本を元に、NHKでちょっとしたTVドラマ、作られていたとも記憶しています。2001/07/15
冬佳彰
15
写真家、藤原新也さんによる、自伝的小説+写真。家が破産し、門司から別府の鉄輪に引っ越してきた藤原さん一家に起きたエピソードを短い文章と写真で切り取った形。藤原さんの出す青みがかった色は、やっぱり好きだなあ。『印度放浪』はもちろんだが、俺が好きだったのは『全東洋街道』か。本書で描かれ撮られた、温泉街の路地にも同じ東洋の匂いがする。当たり前だけど。この写真を見ていると、「フォーカスなんてどーでも良いんだ」って気がしてくる。俺の勘違いだろうが。2022/03/07
ハタケシンヤ
5
鉄輪に「落ち」てきた主人公。みんなそれをわかっている。厳しくあたりながら、棟上式では…。グッときました。2011/08/26
HIRO1970
4
☆★☆新也さんのおやじさんの旅館が倒産して住み慣れた門司から別府の鉄輪に移った高校時代の自叙伝的なお話。当時の気持ちを湯けむり感とともに上手に表しているセピア色でちょっと切ない感じの作品です。いい作品ですね。2013/02/26
Koki Miyachi
4
作家であり写真家でもある藤原新也。お気に入りの作家。そんな彼が、文章と写真で訥々と自分のルーツを辿る。彼にしかできないスタイル。読みながら思わず自分で自分のルーツをパラレルに辿ってしまう。そんなひとときに誘ってくれる不思議な本。やっぱりカッコイイよ。2012/10/29