内容説明
中上健次没後四年にして、ついに完結した決定的な作家論=物語論!古今東西のテクストと貪欲に交配しつつ、先鋭的なアクチュアリティを我々に突きつける中上文学を緻密に論じた名著『貴種と転生』(1987年刊)を改訂し、作家没後に執筆された新論考を大増補。「獰猛なまでに不定形で過激なエクリチュール」に魅了された著者が十三年間を費やして完結した中上健次への批評的オマージュ。
目次
第1章 五衰の悦び
第2章 異界の変容
第3章 偽史と情熱
第4章 貴種の終焉
第5章 彷徨する兄弟
第6章 この路地の最後の者
第7章 重力の秋
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ra0_0in
1
最初の2、3章を読んで放置していたので、何が書いてあったか思い出せない・・・。柄谷が評価していて、書評していたのを読んだので手にとったのだが、四方田らしくリサーチの行届いた好著だったと思う。中上健次が村上春樹よりエライ、というのはこの頃に確立したと思うのだが、柄谷も四方田も文芸批評から退いた今、中上の評価はどう変わったのだろう。2013/10/23
ねこはこね
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冷徹な論理進行が青白い熱を放っている。/高山文彦の「エレクトラ」と並べて置きたい。/蛇婬、岬、枯木灘、紀州、鳳仙花、重力の都、千年の愉楽、熊野集、地の果て、日輪の翼、異族、奇蹟、軽蔑などへ言及している。2013/05/19
aquirax_k
1
中上論の中では一番好きかな。渡部さんのも面白いけど。