出版社内容情報
ニューヨークで編集・出版され、世界への扉を開いた短編集『The Elephant Vanishes』の日本語版刊行!アメリカデビュー当時を語るエッセイも収録。
内容説明
ニューヨークが選んだ村上春樹の初期短篇17篇。英語版と同じ作品構成で贈る。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
125
本書は元来はアメリカで編集され、出版された村上春樹の短篇集。その日本語版がこれ。全部で17篇の作品が収録されているが、短篇集の表題には自分ならどれを取るだろうか。迷うが、やはり"THE ELEPHANT VANISHES"が一番インパクトがあるだろうか。篇中では「ファミリー・アフェア」の「家事を分担してるんだ。彼女が洗濯して、僕が冗談を言う」なんかはアメリカン・ジョークの匂いがするし、「午後の最後の芝生」などには、レイモンド・カーヴァーみたいな趣きもある。村上春樹の小説は、本質的にグローバルなのだろう。2013/01/13
優希
89
村上春樹の初期の短編集で、英語版と同じ構成の日本語版になります。これを読めばハルキ文学の初期の概要はつかめると思いました。何処かけだるくて不思議な日常の心地よさと軽い喪失感があります。他の村上作品につながる要素が沢山ちりばめられているのもいいですね。現実と半音階ずれたような日常が大人の寓話という雰囲気を醸し出しています。言葉や比喩といった豊かな表現も楽しめる作品でした。2015/07/22
キク
74
アメリカで編纂された短編集の日本語版。「四月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて」が好きだ。もっと上手い短編や深い短編はあると思う。でもこの作品を若い頃に読んで、僕の人との出会いについての向き合い方が変わった。読者からの質問に春樹さんにが答える企画で「100パーセントの女性に出会ったことはありますか?」と聞かれた春樹さんが「多分ありません。でも、べつに100%じゃなくたっていいじゃないか、と思える女性には出会ったことがあります。それはそれで素敵なことです」と答えていた。うん、素敵だ2023/03/29
キク
66
【パン屋再襲撃】元々の収録短編集では表題作だった名作。読み返して気付いたけど、マックを襲撃した新婚夫婦、法律事務所に勤める夫とデザインスクールに勤める妻になってて、「ねじまき鳥」の岡田夫妻の原型になってるんだな。若い頃の夫のパン屋襲撃による呪いを祓おうとする妻。若い頃に読んで、結婚ってとんでもないことなんだなと思ったことを覚えている。祓うべき呪いは、自分ではなかなか見つけられない。自分を思ってくれる誰かに見つけてもらう必要がある。それは結婚というものの大事な機能の一つだ。僕も確かに祓ってもらえた気がする。2023/10/21
sakap1173
64
1980年から1991年にかけての作品をアメリカの出版社がチョイスした17編の短編集。じっくり読んでみました。一番インパクトがあったのは「眠り」のラストかもしれません。 好きなのは「四月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて」かな。 村上さんの長編が読みたくなりますね。2021/09/02