出版社内容情報
沖縄、アルゼンチン、バリ――こんな激しい冒険と、かくも妖しい女たちが、おれを鍛えた。作者の視線を追体験する写真付き連作小説。
内容説明
港町で性の洗礼を受け、アルゼンチンの山中でナチス残党らしき一家に救われ、チリの娼館で夢を見て、バリではあやしい人妻に近づいていく…。写真からよみがえる、眩しい風、膿んだ闇、うごめく男たち女たち、匂いたつ記憶―カメラ片手に世界中を旅したシーナが、新たな物語の地平を発見する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
フーミン
17
表題の「国境越え」現実場慣れした放浪の旅。淡々とした文とモノクロ写真に見とれているうちにいつのまにか一緒に放浪しているようなリアルに気分になったのは椎名さんの文才のせいでしょうか。いつもの椎名ワールド「ムフフッ」と静かに笑える部分がなかったのが残念でしたが…2015/03/11
おにぎりの具が鮑でゴメンナサイ
16
椎名誠といえば、山奥で釣りをしたり僻地でキャンプしたり丸太小屋で燻製作ったりしてるイメージを勝手に持っていたのだが、いろんなジャンルのものを器用に書きこなす人だとわかって意外。それだけ多忙多才な作家であれば失敗作というのもあるんだろうけど、これがそうだとまでは言わないし言えないがやっぱり言うダルビッシュ有。冷蔵庫にあった残り物でチャッチャと手早く一品拵えちゃった感じがして物足りないというかさみしい。さみしいといえば「淋しい熱帯魚」のころの相田翔子さんは本当に可愛かった。2014/08/13
ophiuchi
13
椎名誠にはパタゴニアがよく似合う。2017/12/11
yutusbochan(yasuhiko.utsubo)
5
フォト・ストーリー、写真小説というジャンルの1冊。旅先の椎名さんの経験を元に買いたのだろうなと思う短編が6編。タイトルの「国境越え」は南米を旅する椎名さんの姿が描かれたもの。 少しの顎がれを感じつつ、こんな旅ができるのは椎名さんだからなんだろうなと思いページをめくる。世界観にマッチした写真は何かいいなと思えるものでした。2013/02/23
hideboo
5
写真による連作小説集。写真ありきではなく、小説に自ら撮影した写真を付けていったとのこと。シーナさんの体験したことなのか、フィクションなのか、読み手に余韻を持たせる仕上がりで、私はとても気に入りました。2012/05/23