方丈の孤月―鴨長明伝

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  • サイズ B6変判/ページ数 288p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784103345343
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

下鴨神社の神職の家に生を受けた鴨長明は、歌に打ち込み、琵琶に耽溺し、出世を望みながらも幾度となく挫折。源平争乱の時代に、大火事、大飢饉、大地震などを目の当たりにした後に五十歳で出家、山奥の一間の庵にこもる。不遇の半生と未曾有の厄災から悟ったこの世の真とは。八〇〇年の時を越え、普遍の価値観を湛える『方丈記』作者の波瀾万丈の生涯。

著者等紹介

梓澤要[アズサワカナメ]
1953年静岡県生まれ。明治大学文学部卒業。1993年、『喜娘』で第十八回歴史文学賞を受賞しデビュー。作品執筆の傍ら、2007年から東洋大学大学院で仏教学を学ぶ。2017年、『荒仏師 運慶』で第二十三回中山義秀文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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初美マリン

102
鴨長明伝だが、この作品の彼は、方丈記を書くまで意固地でグダグダしていてイライラした。だからこそようやくここに至ったのだろうか2019/08/21

のぶ

79
平安の末期から鎌倉の時代を生きた、鴨長明の生涯を記した物語だが、長明から見た一人称で書かれており、当時の時代や長明の心情が詳しく描かれている作品だった。若き日は下鴨神社の神職の家に生を受け、和歌に打ち込み、琵琶に耽溺しながら暮らしていた。平家の興亡を目の当たりにし、多くの厄災を体験した無常観が全体を通して漂っていた。五十歳で出家し、山奥に庵を構え晩年に方丈記を記すにあたり、これらの人生経験が方丈記に込められているのだろう。全体を通し琵琶の響きが聞こえているような独特の雰囲気を醸していた。2019/04/30

真理そら

57
読み始めてから『方丈記』の内容を忘れ果てていることに気づいて、まず『方丈記』を読み直してからこの作品を読んだ。方丈で隠棲してからの長明の心理は、そこまでの報われない人生や報われるための努力をしなかった人生があってこそ、という気がした。『方丈記』が凡人にも分かりやすく、親近感を与えるのは鴨長明の人生が成功者のそれではないからかもと思いつつ読み終えた。2019/07/05

万葉語り

51
鴨長明の人となりを作者なりに解釈した作品。ちょっと意固地で面倒くさい。いやなことから逃げ、得意なことだけして仕事もろくにしないのに出世欲だけは強い。こんな困った人なのに、誰かしら助けてくれるのはその才能があったからだろうなっと思った。2019-0852019/06/15

trazom

47
梓澤要さんが一人称小説として鴨長明の生涯を綴っている。私は、方丈記=無常という公式に疑問を持っている。鴨長明の無常は、宗教的な純粋性のある無常観ではない。出世栄達を願いながら果たせず、坂道を転げ落ちるように落ちぶれてゆく自らの人生を怨み儚んだ「無常」である。和歌や琵琶への執着も、芸術的な純粋性への帰依というより、俗世での満たされぬ思いからの逃避に見える。その意味で、私は、方丈記には、「無常」というより、むしろ「執着」を感じるのだが、梓澤さんがこの小説で描く鴨長明は、その感覚と見事に一致する。いい本だ。2019/04/22

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