出版社内容情報
「あんた、本当は私のこと笑ってるんでしょ」就活の情報交換をきっかけに集まった、拓人、光太郎、瑞月、理香、隆良。学生団体のリーダー、海外ボランティア、手作りの名刺……自分を生き抜くために必要なことは、何なのか。この世界を組み変える力は、どこから生まれ来るのか。影を宿しながら光に向いて進む、就活大学生の自意識をリアルにあぶりだす、書下ろし長編小説。
内容説明
影を宿しながら光を探る就活大学生の切実な歩み。あなたの心をあぶり出す書下ろし長編小説。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
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第148回(平成24年度上半期) 直木賞受賞 現代版「されど我らが日々」とでも言うべきなのだろうか。 学生から社会へと向かう若者の姿を就活を通して描く。 twitterの自己紹介画面が登場人物の紹介に使われているのがなぜか可笑しい。自分の感情をわずか140文字に切り取りながら、自分は 「何者」で「何者」になろうとしているのか。 だが、結局自分達は、その「何者」なんかになれはしない。 理香が拓人に投げ放つ言葉は重く痛い。 「何者」が最後そういう 意味を持たせていたとは。 反則である。2013/08/18
mitei
1370
久しぶりに小説を読んでみた。著者と同い年だからか私の就活の経験と重なるところがあって面白く読めた。拓人のつっこみにあるあると思っていたら、まさかの最後のどんでん返しを食らって観察者である読者にも胸が痛く、共感させられた。それにしてもみんなとてもTwitter使いこなしてるなぁと思った。周りの人の裏垢って怖いなと思った。私も何者かになろうと日々過ごせているのだろうか?と自問自答していきたい。2015/06/21
takaC
1101
ケータイはおろかインターネットも一部にしか普及していなかった時代に就活した(実質していないけど)自分らの頃と比べると技術の進歩も良いことばかりじゃないね。2013/11/08
にいにい
1033
初朝井リョウさん。就活生の行動を通じて、他人から高評価を得たい心、人を貶すことで自尊心を保ちたい衝動、自分だけは特別だと信じ続けたい気持ちをSNSという道具を駆使して描き切っている。自意識に囚われすぎる人々。一歩踏み出す勇気を得るには?傍観者・批評家でいつまでも居られるのか?自分を曝け出すことの恐怖、恥ずかしさが光太郎と他のメンバーとの対比で晒される。比較でしか自分を測れないものの惨めさがヒシヒシと伝わった。でも、矢面に立てる勇気は.... 人生と向き合えるきっかけに出来そうな一冊。痛い生き方脱出の為。2014/10/18
Yunemo
872
思い返せば、確かにこういう年代・時代が自分にもあった。自身もこうだったと回顧。本作品は、就活の状況で組み立てられているが、実はどんな場面でも、この年代の特徴点のように感じられる。常に熱くならず俯瞰的に遠くから眺める意識、表面上はクールに生きる。そこに心身を疲れさせ、心を壊す要素が孕んでいるんだと思います。 この点は就職しても同じ、いや学生時代以上に自分を壊す可能性は大きくなっています。どこまで自分をさらけ出して生きられるか、いつも考えてしまいます。だからダメなんですよね!2012/12/17