内容説明
書斎、それは時に創作活動を励まし、時に様々な思い出を語りかけてくる“生きものたち”が住んでいる部屋。壁の絵、万年筆、地球儀、酒器、飼い犬…。彼らに寄せて綴ったエッセーが、素顔の著者を浮き彫りにする。率直に己を語った出色の連作エッセーに、殆どの“生きものたち”を奪い去った、阪神大震災の被災体験「平成七年一月十七日からの日記」を書下ろして加える。
目次
生きものたちの部屋
絵具
インクと万年筆
エーゲ海の壷
軽井沢の仕事場
腕時計
地球儀
へんてこりんな犬
ゴルフ道具
再び、ゴルフ道具
酒と酒器
耳の世界
大晦日の書斎
平成七年一月十七日からの日記
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kaorin
1
大好きな宮本輝さんのエッセイ集。この物語を書いていた時に、こんなことがあったのかと、楽しく読ませてもらった。また、氏のこの時の経験が、あの小説に生まれ変わったのかという発見もまた面白い。氏のお母様が亡くなられた時の話は、「流転の海」シリーズで、お母様が私にとっては身近な人になっていただけあって、その最期に感慨深いものがあった。ああ、晩年は幸せな人生を送られたのだなと嬉しくもあった。2024/05/06
よし
1
「平成7年1*17の日記」たった数日の文章から阪神淡路大震災のすごさを痛感してしまった。「へんてこりんな犬」「ゴルフ道具」「腕時計と万年筆」宮本氏の日常が手に取るようにわかる。また、彼の作品を読みたくなった。2023/09/05
kon
0
宮本輝氏のエッセイだった。 宮本氏に対して、落ち着いた大人の印象を持っていたのだが、この本を読んで、少々イメージが変わった。 でも、作家って以外とこんな感じかもしれないなぁ。 家族も大変だ。 万年筆や腕時計など、大人っぽい嗜好もいいなあと思ったし、ゴルフにはまるところは素直に笑えた。 震災のところは、さすがに、いろいろと思い出しながら読んだ。面白かった。2006/03/07