夢見通りの人々

夢見通りの人々

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  • サイズ B6判/ページ数 240p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784103325031
  • NDC分類 913.6

内容説明

今日も埃が風に舞う夢見通り商店街―。そこに住むのは、名称とはうらはらに、ひと癖もふた癖もある人たちばかり。自己顕示欲にこり固まったパチンコ屋の主人、吝〓で偏執的な目をした時計屋の夫婦、粗暴な肉屋の兄弟、競馬狂いで夫婦げんかの絶えない太楼軒の親父…。そんな彼らが、ふと見せる愛とやさしさを通して、それぞれの心に秘められた“大切な思い”を描き出す。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

がいむ

30
宮本さんの割合初期の作品。お気に入りさんの感想で見かけてなつかしく思っていたところ、偶然図書館で目に入ってきた。家のどこかに文庫があると思うけど、うれしく借りてきた。大阪難波のごちゃごちゃした「夢見通り商店街」が舞台。訳ありだったり、欲が強かったりする人たちだけど、生きる活力みたいなものが感じられて憎めない。いろいろな事件に巻き込まれてしまう、商店街に下宿しているお人好しの里見春太が好対照。若いころからすでに読みやすくあたたかい文章で、改めて宮本さんのすごさを感じます。2014/09/15

伊之助

25
癒され心浮き立つような名をもつ通り、「夢見通り」。そこに住むのは通りの名に似つかわしくもない一癖ありそうな人々。猥雑で、はた目からみれば苦笑いも漏れる普段の生活が今日も営まれる。そんな人々が時たま見せる人生の哀感や、切ない、一途な、拙い愛が、そしてそれ故のそれぞれの願いが、夢が、作者の流れるような筆致で描き出される。何かが解決して終わる訳でもない。描かれるのは愛おしくも見えてくる人間模様だ。やはりそこは夢見通り。2015/04/09

たか

13
宮本輝の中では『泥の河』と並んで最も好きな作品。しかし、作風はかなり異なっていて、宮本輝にしては珍しく暗くない仕上がりになっている。 夢見通り商店街の個性的で魅力溢れるキャラクターたちが、宮本輝の美しい筆致のもとで動き出すようだ。A評価2017/11/14

サラダボウル

8
夢見通り商店街に生きる人々を色濃く描く。こんなに人の機微がわかると、宮本輝という人は生きにくいだろう‥と勝手に思う。一人の登場人物が言う。環境というのは、手ごわい敵です。簡単に変えられそうだけど、とんでもない、そうすんなりとは変わってくれへん。環境が人間を変えます。人間が環境を変えるには、途轍もない力と努力か必要です。小説の最後の2行が好き。二人の姿は夢見通りの入口近くで黒い輪郭だけになったが、雨に濡れたアスファルトには、男とも女とも判別できない人間の影が落ち、光って、もつれて、揺れ動いた。2018/05/15

星落秋風五丈原

5
ひと癖もふた癖もある夢見通りの住人たちが、ふと垣間見せる愛と孤独の表情を描いて忘れがたい印象を残すオムニバス長編小説。1986/03/13

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