朝が来るまでそばにいる

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  • サイズ B6判/ページ数 197p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784103319634
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

「ごめんなさい。また生まれてきます」。弱ったときにするりと忍び込んでくる、自分自身の心の影。新鋭が描く、再生と希望の連作集。弱ったとき、逃げたいとき、見たくないものが見えてくる。高校の廊下にうずくまる、かつての少女だったものの影。疲れた女の部屋でせっせと料理を作る黒い鳥。母が亡くなってから毎夜現れる白い手……。何気ない暮らしの中に不意に現れる、この世の外から来たものたち。傷ついた人間を甘く優しくゆさぶり、心の闇を広げていく――新鋭が描く、幻想から再生へと続く連作短編集。

彩瀬 まる[アヤセ マル]

内容説明

この夜が明けるまで、手を握っているよ。弱ったとき、逃げたいとき、静かに寄り沿う影がいる。暗闇から再生へとつながる物語。

著者等紹介

彩瀬まる[アヤセマル]
1986(昭和61)年千葉県生れ。上智大学文学部卒。小売会社勤務を経て、2010(平成22)年「花に眩む」で「女による女のためのR‐18文学賞」読者賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おしゃべりメガネ

228
今作の彩瀬さん、かなりの七変化状態で多彩な面をみせてくれています。6編の短編集で一発目からそこらのホラーも真っ青な作品で幕を開けます。まさかこの調子で続くのか?と不安になりますが、そこからが彩瀬ワールドの真骨頂で、次から次へとまぁ、豊かな作風で読者を飽きさせるコトなく、しっかりと惹き付け楽しませてくれます。どこか背筋がヒンヤリとする彩瀬さん特有のカラーももちろん健在で、そこはしっかりと読者の期待を裏切ることなく、仕上げてくれています。個人的にはやっぱり彩瀬さんにはテンポのいい短編集がお似合いかもですね。2016/11/03

しんたろー

206
不穏な感じが漂う6つの短編は「死」がテーマで、人の黒い情念を選び抜かれた言葉で紡がれていて、耽美な詩を読んでいるかのようでもあった。夜霧の中を歩くような見通しの利かないストーリーでスッキリした結末でもないし、おぞましい描写もあるので、気の弱い人や彩瀬さんを初めて読む人には勧められないが、馴染んでいるファンには嬉しくなる一冊だろう…まるで、癖のあるチーズや苦みの強いチョコレートをチョッとずつ食べる時に味わう幸福感を得られた気分…中でも、遺された家族の哀しさと温かさが混ざり合った『よるのふち』は印象に残った。2019/08/30

❁かな❁

188
彩瀬まるさんの作品はほぼ読んでますが今作は少し今までと違い、死や心の闇が色濃く描かれていて不気味で怖い感じのところもあります。でも幻想的で彩瀬まるさんらしい丁寧な心理描写と繊細で綺麗な文章で惹き込まれて一気に読了しました!読みながら悲しくなったり、切なくなったりしますが、読後感は悪くなく最後にそっと優しく包み込んでくれるような感じで良かったです*個人的には『骨を彩る』『神様のケーキを頬ばるまで』の方が好み!前作『やがて海へと届く』に感じた雰囲気もあります。少し怖い不穏な空気もありますが、温かい再生の物語*2016/12/20

冴子

175
綾瀬さんはこれまで大好きでずっと読んできたが、この短編集は死をテーマにしているからか、全編暗くて辛かった。「眼が開くとき」の幼馴染をエロく写真に撮るカメラマンは魅力でした。2017/01/16

なゆ

169
なんだか胸が苦しくなる短編集。この本に散らばる感情の生々しさといったら。哀しみも、切なさも、愛しさも、虚ろな眼差しも。だからこそ、このタイトルが沁み渡る。『やがて海へと届く』でも生と死とにグッと迫って書かれてたが、こちらではさらに生者と死者とが交錯している。死にまつわる苦しさから、ちょっとだけ気が楽になって終わるのは救いだけど。凄く好きなのは『眼が開くとき』。ちょっと毛色が違って、どちらかというと官能的なような。蝶が羽化し捕食される描写の細やかさといったら。そこからふくらむ、歪んだ恋心の行方もたまらない。2016/10/04

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