四龍海城

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四龍海城

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  • サイズ B6判/ページ数 277p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784103299813
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

夏休みの最初の午後。海に浮かぶ謎の城に閉じ込められた健太郎は、そこで出会った少年、貴希と誓った。必ず、二人でここを出る――。切なさ爆発の青春小説。

内容説明

健太郎の家の近くの海に、ずっと前から不気味な塔が建っている。地図にもインターネットにも載っていない、謎の建物。夏休みの最初の午後、憂鬱な気持ちで海岸にいた健太郎は、気が付くとその塔に「さらわれ」ていた。そこには感情がなくなった人々の群、閉じ込められた十数人の大人たち、そして昏い目をした少年、貴希がいた。健太郎と貴希は次第に心を通わせ、塔を出るための「出城料」を共に探し始める…。少年たちのある夏、切なすぎる冒険譚。

著者等紹介

乾ルカ[イヌイルカ]
1970年北海道札幌市生まれ。藤女子短期大学卒。銀行員、官公庁臨時職員などを経て2006年に「夏光」でオール讀物新人賞を受賞、デビュー。2010年『あの日にかえりたい』が第143回直木三十五賞候補に。札幌市在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

文庫フリーク@灯れ松明の火

116
「あの人は――誰だろう」自分にとって、世界で一番大切な宝物が奏でるトランペット。出城の対価を支払った健太郎には、胸の痛みしか呼び起こさない。四龍海城の天辺。漆黒に暁が注がれ、空は深い藍に、その藍に群青が入り交じり、さらに濃密で揺るぎない青に。密やかに色付いていく輝きの中、響くトランペット。健太郎も関もいない城の天辺で、この先貴希はどんな想いを奏で続けるのだろう。貴希の真摯な明晰さが切ない。全く違う物語だが米澤穂信さん『インシテミル』のような消化不良感も残る。異世界・四龍海城自体は謎のまま。→続く2012/06/07

財布にジャック

109
少年達の友情を描いたファンタジーで、舞台が長崎の軍艦島を思わせる架空の島で、乾さんの考えられた想像の世界にどっぷりと浸らせていただきました。ネタバレをしないで感想を書くのが、ここまで難しいお話も珍しいかもしれません。こういう結末であろうことは後半に入った辺りで予測がついてしまうのにも係わらず、胸をかき乱される小説でした。乾さんに心を弄ばれた気分です。傑作。2012/03/06

kishikan

101
青春時代に大事にしていたもの、失いたくなかったものって何だったろうなぁ。この本を読み終えて、僕が真っ先に思ったのはこのことだった。海の中に立つ不思議な塔、その異世界の城に迷い込んだ(拉致された)健太郎が、そこで同じ年頃の貴季に出会う。二人は様々な困難に立ち向かい、やがて真の友と思えるようになるのだが・・・。エピローグはないが、主人公の健太郎にとってこのひと夏の経験がその後の生活にどのように影響したのか、それが気になった。また今の若者がこの本を読んで、どのような感想を持つのだろう。僕はそれが知りたい。2012/06/07

そのぼん

97
少年が存在するはずのない世界で突然暮らすことになる、とても変わった設定の作品でした。そこで主人公の少年は前からその世界にいた少年と心を通わせていくのですが・・・。最後まで読んで、切なくなりました。2012/12/29

ちはや@灯れ松明の火

97
黄昏の海辺は神隠しの道、行きはよいよい、帰りは怖い。誰か友達になってほしいと、ひとりで生きていきたいと、それぞれ願っていた少年ふたり。海に聳える牢獄の虜囚、行き着く先は緩慢な魂の死、逃れるための代償を探し彷徨う。強がって、笑って、名前を呼びあって、支えあって。精神を蝕んでいく歌声から、忍び寄る城人化の恐怖から、この手で守り抜くと決めた。闇に塗られた夜空を青の階層へ色づかせる一条の光、夕日に溶けていくトランペットの音色、目に映して、耳に残して。ただ強く強く、思った。他の誰でもないと、ひとりきりじゃないと。 2011/11/13

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