神的批評

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  • サイズ A5判/ページ数 253p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784103278115
  • NDC分類 910.26
  • Cコード C0095

出版社内容情報

自己を問う、批評の神髄へ――。新潮新人賞受賞作「宮澤賢治の暴力」、話題を呼んだ「批評と殺生―北大路魯山人」を含む、4篇の決定的デビュー作。

内容説明

自己を問うこと。問われること。他者に開き続けること。開かれ続けること。思考を徹底化・無限化していくことで、人間はどこまで行けるだろうか―小林秀雄に始まる文芸批評の新鋭が、崇高への言葉を刻みつける。今この時代に私たちの生き方を問う、21世紀の批評は誕生する。

目次

宮澤賢治の暴力
柄谷行人論
私小説的労働と協働―柳田國男と神の言語
批評と殺生―北大路魯山人

著者等紹介

大澤信亮[オオサワノブアキ]
1976年東京都生れ。文芸批評家。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。2007年「宮澤賢治の暴力」で第39回新潮新人賞“評論部門”受賞。『神的批評』は初の単著である(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

白義

17
自己の暴力性を苛烈に問い続け極限において自己を『殺す』時、一体他者に何が贈与されるのか。本書は宮沢賢治や柄谷行人といった、原的な暴力を自己に絶えず向け自己犠牲的な論理と倫理にたどりついた文学者たちを解読し、それと同じように自分自身の『食べる』という根源的な他者への暴力にまで妥協せず自らの存在のあり方を問い続けた一種の精神的格闘の書である。宮沢賢治の意外なまでの激しい攻撃性を指摘する本書自体筆圧がかなり高く、攻撃的だし、文の端々から傲慢で暴力的な気配も漂う。その激しさを自己に向けた故の思考の徹底性がある2015/06/30

harass

16
これぞ正統的な批評だ。文学や哲学をネタとして駆使して、言いたいことを挑発的に語る文芸の一ジャンルだ。四篇の評論を収録。個人的に北大路魯山人のが心に響いた。批評とはなにかということを真摯に自問自答している。過剰とも思えるほどに。縦横無尽な軽業師めいた手際に読んでいて息を飲むことが何度もあった。粗さとか飛躍が目立つし難解な個所が多いが、若い文芸評論家は絶滅危惧種なので許す。第三九回新潮新人賞評論部門で入選した『宮沢賢治の暴力』収録(この賞の評論部門はこの回で廃止に)2014/02/27

梟をめぐる読書

4
なぜ「食べることは殺すことである」という生=暴力の問題がここまで執拗に検討されなければならなかったか。私の想像するに、それは批評もまた一種の暴力にほかならないからだ(「神的批評」というタイトルはベンヤミン「神的暴力」へのオマージュでもある)。「食べる=殺す」という命題に無自覚でいようとしつづける人間はまた、批評という行為の暴力性にも無自覚であり続けるほかないだろう。批評という行為が作品やその作者を殺すものであり、必然的に他者を傷つけてしまうものであることを忘れないよう心掛けたい。2011/08/16

hitotoseno

3
膨大な文献を渡り歩くフットワークの軽さはあるが脈略が掴めない時がある、議論の詰め方にもムラがある、時折文章が妙に飛躍する、そんな様々な瑕疵は見逃せない。しかし本書を貫いている批評原理であるところの「自己を問い続ける」という視点を導入してみると、これは一種の自己格闘の現場であったかと合点もするし、それどころかこの熱狂は思索の過程をリアルタイムで見る際の臨場感であったか、と納得する。自己格闘は結構だ、それを書物に仕立てる道理はあるのかって? 早合点しちゃ困るよ、著者にとっちゃ自分も他者であるのだそうだ。2012/07/27

メルセ・ひすい

3
14-43×赤40 初出 「新潮」`07.11 `08.11 `10.04 「思想地図」vol.2 まず賢治の「菜食主義」で゙食゙とはなんぞや 「食」とは『生存の暴力』か?  正に人間中心主義 基督教はイエスが頂点の人間神 人間の命そのものに暴力が組み込まれている。でも日々食べなければならない。縄文~弥生⇒次第に食の暴力への意識は限りなく彼方へ…縄文土器の超パワーは食・暴力への祈り(°∀°)b 生存の暴力を見つめる詩人はいかにして絶対の慈悲を実践したか。その自己破壊的倫理とは…自己との対峙。。2011/01/19

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