内容説明
日本、清国、ロシア…。様々な思惑と権謀術数の渦巻く李氏朝鮮王朝宮廷に、類いまれなる才智を以て君臨した美貌の王妃。しかし彼女の栄華の夢は、日本公使を中心とする暗殺者集団によって断たれた。―近代日本の性急すぎた外交政策のひずみから生じた惨劇、日韓関係の根源的事件の真相に迫る、書下ろし問題作。
目次
プロローグ 池上本門寺の墓地にて
李氏朝鮮王朝通信使
大院君、政権を握る
閔妃登場
閔氏一族の結束
王世子誕生
大院君拉致事件
閔妃暗躍
外務大臣陸奥宗光の記録
閔妃の自負心
下関の李鴻章
公使井上馨の失権
王妃暗殺計画
暁の惨劇
陸奥宗光への疑惑
エピローグ 日韓併合への道
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
James Hayashi
29
1895年、韓国人の誰もが知る事件(乙未事変) でありながら日本では馴染みがない。日韓関係を知る上で知っておくべきだが、真実は未だ不明。80年代に書かれたモノだが、その後も殺害時に利用された写真が別人のものだった(90年代)との情報もあり、当時の日本側の裁判でもうやむやに終わっている。著者の記述もすべてに根拠があるわけでなく類推部分がある。疑惑の事件でありなんとも言い難いが、当時の日本や朝鮮の状況を知ることができる。2018/07/28
moonanddai
2
全編、暗澹とします。当時の日韓清露といった国々の関係。日本の一般世論を含む対韓感情と外交政策。韓国内における勢道政治に象徴的な政治風土。そんな時代だったと言えばそれまでかもしれないけど、日本人のみならずすべての人が考えなければならない時代だったのでしょう。閔妃と日本がテーマといったになると、往々にして書き手の立場が偏ってしまうことがありますが、極力事実関係の記述に徹しようとする作者の態度に共感します。場合によっては悲劇の主人公になってしまう閔妃への目が冷めています。2014/10/27
父帰る
2
韓国人が日本人に対して反感を持っている訳の一端を理解できる。但し、現代の視点でこの事件を云々することは正しくないと思うと。閔妃の時代は帝国主義の時代。近代国家が前近代国家を飲み込む時代の話しである。2014/04/17
しょう
0
この本を読む前に韓国旅行へ。観光地となってる場所で王妃暗殺があったとは。この事件や朝鮮を統治していた時代の事を日本人はもっと知るべきだと思いました。観光してた時、道を訪ねても韓国の方はとても親切でした。過去の歴史を知った上で、友好関係を築いていけたらなと思いました。2023/11/10
TB
0
★★★★★1895年、朝鮮統治の頓挫危機感の中、在韓大使主導で民間人も含めた実行隊が、王宮に攻め込み王妃を暗殺するという事件。朝鮮人を犯人に仕立て、日本人はお咎めなしとまでもした 「ひどいことするなー」の一言。筆者も取材の過程で「申し訳ないと感じた」と書いていたが全くの同感。 ｢朝鮮の独立」を大義名分から始まった大陸進出も、その後の日韓併合へとつながっていく様に、今のロシアの狂気を重ねてしまった。 筆者は私見として｢日本政府の関与は無いと思う｣というが、私は無いはずは無いと思う。2022/04/06
