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須賀敦子を読む

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  • サイズ B6判/ページ数 205p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784103149316
  • NDC分類 910.268
  • Cコード C0095

出版社内容情報

待ち望まれていた本格的須賀敦子論、ついに登場! 
書物を愛し、人を愛し、惜しまれて逝った須賀敦子。洗練された強靭な文章から生れる厳しくも温かな人間ドラマに、世の読書人は目を見張った。彼女の作品はなぜこれほどまでに深く人の心を打つのか? 元担当編集者の著者が、その主著五冊の精読を重ね、未完の小説作品に到る人生と魂の足跡を描いた、ファン必携の一冊!

内容説明

十代での受洗、渡ったミラノでの結婚、そして故郷夙川の家族たち―。日本とイタリアを往還し、紡ぎ出された厳しくも温かな人間ドラマに、世の読書人は目を見張った。彼女の作品はなぜこれほどまでに深く人の心を打つのか?元担当編集者の著者がその主著5冊の精読を重ね、須賀敦子作品の真の魅力を描いた、初めての、本格的須賀敦子論。

目次

第1章 もう一度、コルシア書店を生きる―『コルシア書店の仲間たち』
第2章 霧の向うの「失われた時」―『ミラノ 霧の風景』
第3章 父と娘のヨーロッパ―『ヴェネツィアの宿』
第4章 精神の遍歴―『ユルスナールの靴』
第5章 家族の肖像―『トリエステの坂道』
第6章 信仰と文学のあいだ―「アルザスの曲りくねった道」

著者等紹介

湯川豊[ユカワユタカ]
1938年新潟市生まれ。64年慶応義塾大学文学部卒業。同年文藝春秋に入社。「文學界」編集長、同社取締役などを経て、京都造形芸術大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ぞしま

13
須賀さんの作品をハイライト的に読んだような感覚があり、一連の作品を読み直したくなる。筆者はコルシア書店の仲間たちの編集者とのこと。ヴェネツィアの宿も途中まで。そんな筆者がゴシップ的に須賀さんの知られざる一面を描くわけではなく、あくまで、テキストに向かい合う姿勢は真摯で、多くの読者に届くようにと、主要なシーンへの言説がある。上述と矛盾するが、父の形見品が幾つか須賀さんが大切にしまわれていたことが死語発覚するというこぼれ話的下りで落涙してしまった。2014/10/09

lune

8
作品をベースに須賀氏の生きた道を再度辿りながら、執筆の途中で亡くなり、完成をみなかった氏の小説についてもふれる。 信仰と文学の間を行き来する須賀氏の生涯。最終章に、吉行淳之介の『樹々は緑か』(『古いハスのタネ』より)が繋がる。 ひとを愛し、そのひとびとの孤独をも愛した人だと改めて思った。2013/11/05

amanon

3
改めて須賀の教養、魅力的な文体、深い思索、五十代から始めたという文筆業が非常に限られた期間に終わってしまったという事実などが、とてつもなく愛おしいものに思えてくる。編集を通じて須賀と関わった著者。須賀との個人的な経緯に頁を割いても良さそうなものだが、そこは見事に抑制しているのに好感が持てる。それと同時に、須賀は、その語り手に深い愛を喚起させる類稀な存在ではないか?という気にもさせられた。強い愛憎の対象であった父とのエピソード、海外生活への深い洞察など、鮮烈なイメージを伴って蘇ってくる。須賀ファン必読。2019/09/02

utataneneko

3
これまではただひたすら、須賀さんのエッセイをむさぼるように、順不同で読んできたのだけれど、この本で、それらのエッセイの背景にある須賀さんの人生やその時々の思いのようなものに触れられ、より理解も深められたかな、と思う。久しぶりにまた須賀さんのエッセイも読み返してみたい。2010/01/31

porcoooo

2
私たちはなぜ、かくも須賀敦子の文章にひかれるのだろうか。日本とは歴史も文化も違う国で流れた時間、交わされた言葉、そして彼女の眼差し、記憶。それらが、流れるような文章によって私たちの内に届き、共鳴する。須賀敦子自身さえ意識していないようなとても細やかな技巧や気配りを、湯川豊は少しずつ、丁寧に、敬意を持って明らかにしていく。ランタンを手にして、霧の向こうにいる須賀さんの方へと、ゆっくりと歩んで行くように。2014/11/07

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