出版社内容情報
「ローマの滅亡」という世界史上最もスリリングな事件の解明に新しい視点で挑む!
内容説明
ローマはいつどのようにして滅んだのか。一千三百年に及ぶ巨大帝国の興亡のドラマを描き尽くした最高傑作シリーズ、ここに完結。
目次
第1部 最後のローマ人(紀元三九五年‐四一〇年)(東西分離;ローマ人と蛮族;将軍スティリコ ほか)
第2部 ローマ帝国の滅亡(紀元四一〇年‐四七六年)(覇権国の責務;進む蛮族化;「三分の一システム」 ほか)
第3部 「帝国以後」(紀元四七六年‐)(オドアケル;共生路線;ブリタニア・「帝国以後」 ほか)
著者等紹介
塩野七生[シオノナナミ]
1937年7月、東京に生れる。学習院大学文学部哲学科卒業後、63年から68年にかけて、イタリアに遊びつつ学んだ。68年に執筆活動を開始し、「ルネサンスの女たち」を「中央公論」誌に発表。初めての書下ろし長編『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷』により1970年度毎日出版文化賞を受賞。この年からイタリアに住む。82年、『海の都の物語』によりサントリー学芸賞。83年、菊池寛賞。92年より、ローマ帝国興亡の歴史を描く「ローマ人の物語」にとりくみ、一年に一作のペースで執筆。93年、『ローマ人の物語1』により新朝学芸賞。99年、司馬遼太郎賞。2002年、イタリア政府より国家功労賞を授与される(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kk
39
あーあ、ついにローマは滅んじゃったし、物語は終わっちゃったし。五賢帝より後は読むのがだんだん辛くなってきてたけど、この最終巻ときたら、1ページ毎に痛みを感じずには読めなかったです。国とか民族の歩みを最後まで見届けるって、けっこうしんどいものなんですね。スキピオやカエサル、それにアウグストゥスなんかの活躍っぷりが水際だってただけに、諸行無常とか感じちゃいます。この長いながい物語を通して、ローマの目眩く道のりを最後まで丁寧に手ほどきしてくれた塩野先生に感謝です。2019/11/22
James Hayashi
39
とうとう完結である。ローマの終焉に寂しい気持ち、ようやく読み終えた満足感、ローマ人の偉大さ、ここまで書き上げた著書に感服など複雑な思い。パックス=ロマーナの盛衰を見てきたが、優れた皇帝、民衆、文化、蛮族や宗教などあらゆるものが2000年の時を超え実像として見えてきた。それは残された文献にもよるが、著者の想像と思いが深い故にできた技といえよう。まさしく職人技の筆致であった。最後に記された諸行無常という言葉に全てが込められていると感じた。2018/04/25
18_y_1977
35
1年8ヵ月かけて全巻読了。どのようにしてローマは隆盛を極め、どのようにして衰えていったのかを実感するにはこの分量は必要だったと思う。国が滅びていくのが、これほど苛酷なものとは思わなかった。ローマの美徳が巻末に記載されているが、これらが少しづつ失われていってしまったのだろう。盛者必衰、諸行無常の一言ではあらわしきれない物を感じることができた。2017/09/05
俊
26
ローマを圧倒する勢いの蛮族、無能な皇帝、私利私欲に走る側近、益々低下する国力。この非常に困難な状況の中、スティリコを始めとした司令官達は奮戦するが、西ローマ帝国はあえなく滅亡してしまう。その西ローマを征服した蛮族が、ローマが失った「寛容」によって「パクス・バルバリカ(蛮族による平和)」という、一時的な安定をもたらしたのは何とも皮肉だ。ローマの長い歴史からは多くのことを学ぶことができる。特に民族、文化、宗教の多様性を認め、敗者すら運命共同体にした開放性は、グローバル化が進む現代に益々必要になってくるだろう。2014/05/29
aisu
24
ヨーロッパの歴史にずっと挫折していたので(フランク王国って突然出てくるけど何?とか)←その辺のギモンが色々繋がってとても面白く最後まで読みました。ローマの歴史知らなかったらヨーロッパわからんはずやわ〜と今なら思う…。ローマ帝国の中に中世の下地が既に出てきているし。民族の移動もローマ固定視点だったからか、理解し易かった。パクスロマーナの時代は読んでて一番楽しいけど、元老院にイライラする事も多かったし。どの人も皆その時の最善を尽くしたという気はします…。カラカラの誰でもローマ市民!が私的に一番吃驚したかも2015/05/31