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昭和質店の客

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  • サイズ B6判/ページ数 280p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784103090175
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

浅草栄久町の路地裏にある昭和質店。ここで出会い別れた男女3人のそれぞれの運命。戦争をはさんだ昭和という時代を描く、書き下ろし長編小説。

内容説明

昭和14年、満蒙開拓団員として大陸に渡り、終戦直前、「自決」命令により妻子と父に銃口を向けた柳田保男。戦地から帰らない恋人を待ち続ける六区のレヴューガール染子。23歳で応召し、ニューギニア戦線で地獄の敗走の果てに息絶えた小説家希望の矢野進。―浅草栄久町の路地裏にある「昭和質店」が出会った三人それぞれが生きた「昭和」と「戦争」。

著者等紹介

佐江衆一[サエシュウイチ]
1934年、東京生まれ。コピーライターを経て’60年、短篇「背」で新潮社同人雑誌賞を受け作家としてデビュー、佐藤春夫に評価される。’90年『北の海明け』で新田次郎文学賞受賞。’95年、ドゥ・マゴ文学賞を受賞した『黄落』は、著者自身の老老介護を赤裸々に描いてベストセラーになった。’96年『江戸職人綺譚』で中山義秀文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

キムチ27

26
佐江氏の「伝えるべきモノがある・・書かねば」という気持ちに胸が熱くなる。以前読んだ「黄落」では老醜、生きる事の惨さを感じた。この作品は満州に渡った3人の語りをその記憶を辿る形で進んでいる。戦前を知らぬ私には心理的極限の人間の考えがこんなに集団ヒステリーの様相を呈するものだと改めて感じ暗然たる思い。惜しむらくは「戦争は惨い、平和が素晴らしい」という普遍論をモノいう為には木を見続けては辿りつけず、森を見るにはどうすれば・・という感が強かった。2014/02/19

まど

11
バンドワゴンみたいな小説を想像して読んだら、3人の質屋のお客さんそれぞれの戦争体験をえがいた物語だった。満州で妻子を自決させた話が本当に悲しかった。2010/12/20

まのまま

3
質屋に通ったお客さんと店主たちが主人公の戦争小説。満州開拓団の自決の話に涙した。我が母は開拓団の引揚者なのですがこのような酷い逃避行では無かったようです。開拓に入った地によってその後の運命も左右されたようですね。しかし戦前の教育は凄かったようです。お国の為に命を落とすのは誉とは・・・平和な時代に生まれた私たちは過ちを繰り返さないように国の舵取りをしっかり見ていなければいけないと思う。若い人に読んで欲しい本です。2012/10/12

ひねもすのたり

3
佐江衆一さんは初読みですが構成が巧みですね。 最後の章で平和の有難さを強く感じました。 満州の話は散々聞いたり読んだりしていますが、これほど感情移入できた作品はありませんでした。 読みやすいつくりになっているので若い人にも読んでもらいたいです。2011/01/05

いたいけなべあ

2
教科書に名前が載ることもなく、英雄として祭られることもなく、地獄のような日々を送り死んでいった何十万のささやかな生活が、あの戦争の起こる前には確かにそこにあったのだ。 吐き気がするほど戦争というのはむごいものだ、読みながら何度胸を押さえたことか…2011/05/16

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