出版社内容情報
夫にインシュリン注射を射ち逃亡した中国人妻は、整形し風俗嬢となっていた―。肉声から浮かび上がる、凍てつくような心の闇とは?凶行までの真相に迫る。
内容説明
女は凍土で生まれ、ひたすら日本を目指した―。「お見合いツアー」に参加、21歳年上の日本人と結婚し、来日した史艶秋。千葉の寒村に奇妙な出来事が起こるようになったのは、それからまもなくのことだった。獄中からの手記で浮かび上がる、凍てつくような心の闇。中国現地取材で判明した驚愕の新事実とは?「千葉インシュリン事件」、その奈落への軌跡を克明に追う。
目次
第1章 紅蓮の業火に抱かれ
第2章 持ち込まれた災厄
第3章 殺意の日々
第4章 語る女
第5章 書き連ねられた「真実」
第6章 大河は凍てついて
第7章 「日僑の郷」から
著者等紹介
永瀬隼介[ナガセシュンスケ]
1960年、鹿児島県生まれ。国学院大学卒。「週刊新潮」記者を経てノンフィクションライターに。祝康成名義で事件ノンフィクションを中心に活躍。2000年より、永瀬隼介名義で小説を書き始める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キムチ27
34
今では一般化した言葉・・中国人妻。彼女が起こした事件を出身地の歴史まで掘り下げて、個人的要因だけでない事件の背景を探る。小説化の手法をとったドキュメントと言うべきか。永瀬氏、出身がそちらの方面だけあってなかなか興味深く読ませる。普通に考えるとおかしい歳の差カップル。中国人妻の供給地として有名な(知らなかった)方正は第二次大戦時、日本人妻と中国孤児が大量に存在した地区とか。金がもたらす悲劇と言えば単純だが中国人のタフさと脇が甘い日本人が浮き彫りにされる結果となり、なかなか興あり。2014/09/18
きあら
11
かつて千葉で起きたインリュリン殺人未遂事件。この本は永瀬さんの著作の中で、ドキュメントに分類されている。そう言われるとドラマチックでないのも、尻切れ感なのも納得が行く。ドキュメントの割には読み易く、吉田さんの犯罪小説集みたいな雰囲気。2019/07/26
しげ
8
真相に迫りきらないまま中途半端に終わってしまい、不完全燃焼な読後感でした。2016/05/13
雨猫
8
ノンフィクション。中国の凍土から千葉の農家へ嫁いだ中国人妻の家で次々と不審な事件が起こる。夫の両親が殺害され放火される。夫は妻に熱湯をかけられ大火傷。その後夫は妻にインシュリン注射され植物人間になる。被害者である夫は気の毒ではあるが。中国人妻も悪事を働きに日本にやって来たわけではない。しかし田舎の農家で、親子ほども歳の離れた夫との生活、言葉も通じず親身になってくれる友人もいない彼女は辛く孤独だったと思う。貧しく無知な女が犯罪者になるというのが哀れで切ない。☆4つ2014/09/01
詩界 -うたか-
6
#読了◆ノンフィクション。読みやすくまとめられていた。中国出身の詩織が夫を殺したのは、殺意があってか、知らずか――知り合いであるあなたは知っていて力を貸しましたか?2020/07/15