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わたしがいなかった街で

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  • サイズ B6判/ページ数 239p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784103018322
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

世界は変わってしまったと騒ぐけど、いつのまにか戻っている。戻ったみたいに、なっている──。今を確かに捉えた作家の最新飛躍作。

会えない人と、死んでしまった人と、どこに決定的な違いがあるのだろうか。世界は変わってしまったと騒ぐけど、いつのまにか戻っている。戻ったみたいに、なっている──。大阪で、ユーゴスラヴィアで、墨田区で、アフガニスタンで、世田谷で、イラクで、瀬戸内海で、ソマリアで…… 、わたしは、かつて誰かが生きていた場所を、生きていた。今この時を確かな言葉で捉えた作家の放つ、圧倒的飛躍作。

内容説明

2010年の世田谷から、1992年のユーゴスラヴィアで、そして1945年8月14日の大阪で―。1945年に広島にいた祖父。大阪で生まれ育ち、2010年の東京で一人で暮らす36歳のわたし。無職生活を続ける友人の中井、行方不明の「クズイ」…。戦争や震災など過去の記憶と、65年前に書かれた作家の日記が交錯し、現実の時間が動き始める。読むものを深い思索へ誘う傑作小説。

著者等紹介

柴崎友香[シバサキトモカ]
1973(昭和48)年、大阪生れ。2000(平成12)年に刊行されたデビュー作『きょうのできごと』が行定勲監督によって映画化され、話題となる。『その街の今は』で、2006年度芸術選奨文部科学大臣新人賞、織田作之助賞大賞受賞、咲くやこの花賞を受賞。2010年『寝ても覚めても』で野間文芸新人賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

tototousenn@超多忙につき、読書冬眠中。

88
☆5.5 柴崎さんは街がぐんぐん好き。 その街には脳内会議をする“ぐでたま”が住んでいる。 “ぐでたま”が住む街を皆は余り好きじゃないだろうな。 でも僕は“ぐでたま”が住むけったいなこの街の香りがkanari気に入ったよ。 2021/01/01

あん

69
一言で言って不思議な小説でした。身近な人の死や別れを経験することにより、自分の生きている、生かされている意味を、戦争の映像を見ることによって探るようになった主人公の砂羽。砂羽はとても不器用で人付き合いが下手でっていうことわかったのだけれど、ストーリーが平坦なので、その他はあんまり伝わってくるものがなかった。と言うか上手く理解出来なかったので、感想にすることが出来ないと言うか…。これは再読しなければなりませんね。人によって評価が分かれそうな作品です。2014/12/08

mint-s

57
離婚して一人暮らしの砂羽36歳。 人付き合いはあるけど苦手。戦争のドキュメンタリーを見たり、広島の爆心地のすぐ近くで働いていた祖父のことを思い、自分が存在しなかったかもと考えたり、もうない場所、行けない場所、会えない人、会うかも知れない人、どこかにいる人....など頭の中でぐるぐる考える。何かを強く訴えてくることも盛りあがることもないけれど、日常にふと入り込んでくる感覚を味わうような時間だった。 2022/02/08

kana

56
映像では表現し得ない、文学的な五感で感じる作品。特に何も事件は起こらないけど、砂羽の思索の描写から、胸の奥の見ないふりをしていたもやもやした部分を掘り起こされ、とても愛おしい想いで読みました。砂羽は世界のどこかで起きている戦争や内線のドキュメンタリーを、静かな部屋で一人で見る、なぜ自分がその虐殺の現場ではなく、今テレビをみる平和な側にいるのか、その意味を考える。砂羽のように戦争のドキュメントは観ないけれど、彼女は私と同じだと何度も思いました。付箋をつけたくなるフレーズがいくつもありました。2012/10/14

巨峰

51
孫たちの世代による反戦小説だと思った。原爆が落とされた広島で暮らしていた祖父、空襲で焼けた大阪で生まれ育ち、東京で生活している彼女。そして、TVを通じてネットを通じて現在進行するサラエボ、コソボなどの戦場にアクセスする彼女。ここに過ごしているのも偶然だし、そこで過ごしていないのも偶然。私たちは死者たちの上に築かれた町で過ごしている。南京大虐殺だ・従軍慰安婦だと声高に責められるとどうしても反発してしまう日本社会だから私たちも被害者であることを思い出させるこういうアプローチの方が心に響くのかもしれません。2013/01/20

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