感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
えちぜんや よーた
10
満足の文化、下層階級なしに社会は存在しない(移民の本質) 官僚症候群(集合的消費支出に貢献する「公務員」と個別的消費支出に巣くう官僚について)2012/08/08
うたまる
2
経済学者ガルブレイス翁による先進国の現状肯定派(=満足せる人々)についての論評。”機能上不可欠な下層階級”が彼らを支えている、というのはその通りだろう。昔は植民地や黒人奴隷が、そして現在では国家内の少数民族なり移民なりが富裕層を富ませるために劣悪な環境に置かれている。おぞましいのは、米国ではそういうひどい貧富格差を正当化するための学者が多数輩出され、現在でも主流をなしていること。中でもジョージ・ギルダーの屁理屈はぶっ飛んでいる。「貧しい人々が成功するためには、貧困という刺激が必要である」だってさ。2012/10/05
うえ
1
「迎合し安堵させてくれるものを熱心に求める政治的な力が存在するのである。マーケットに奉仕し、それによって報酬と賞賛を得る人種が現に存在する。トラヤヌス皇帝後、ローマ帝国が明らかに守勢にまわった時も同じような状況であった。ローマの辺境地域で明白だった帝国の弱点をローマが認めようとする兆候はなかった」「金融政策は中央銀行のそれほど大きくない官僚組織によって運営されており実質的に政府機構が関与するものではない…アメリカの連邦準備制度理事会は、法律により司法上も行政上も当局の規制を免れている独立組織なのである」2015/01/06
taming_sfc
0
ガルブレイス齢80を超えての意欲作。レーガン、ブッシュと共和党が続く要因を、「満足の文化」に支配される民主主義と、軍事・銀行救済を例外とする市場主義に、見出す。私も、80歳過ぎてこれくらいの意欲作が書ける学者を目指したい。2010/06/09
kaikoma
0
満足という概念は、他者との比較による相対的なものだと思います。経済的な満足が万人に一番身近な気がしますが、そればかり追求すると、今度は想定外に別の問題が生じてきて、結局万人が満足する状態にはならないという警鐘でしょうか。2010/09/28