新潮文庫<br> フラニーとゾーイー (改版)

新潮文庫
フラニーとゾーイー (改版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 238p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784102057025
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

優希

99
青年ならではの壁が感じられます。自分に閉じこもるフラニー。弱っている妹に容赦ないゾーイー。2人の関係は弱者と強者のような見え方もしますが、それでいながらそれぞれがお互いを必要としているようにも思います。無垢と俗のバランスが現実をより浮き彫りにし、青年の抱く悩みや世間との共存が鮮やかに見えました。村上春樹訳も読みましたが、個人的にはこちらの方が好きかもしれません。2018/03/21

chiru

88
『ナインストーリーズ』の影の主役は戦争帰還後に自殺を果たす長男シーモアでしたが、この話の主役は7人兄弟のいちばん下の兄妹。物語はユーモラスでシンプル。エゴと闘う妹を救うイケメンの兄の話。彼女の独白10%に対し、兄は90%の勢いで理屈や比喩を駆使して妹を励ますシーンが笑っちゃう。神様と宗教が頻繁に引用されるのは「(兄は死んだのに)自分は生きて許されていいのか」という問いで、答えが、“悩む”と“欲望”は自己治癒。と考えるとすっきりする。兄の、針の振り切れたキャラがひたすら面白い。 ★3.52019/06/21

藤月はな(灯れ松明の火)

48
フラニーの自意識故の葛藤と芯が折れてコーティングしてある部分は壊れそうになさそうな脆さに思わず、同感してしまいました。普通に暮らしていたのに突然、理由もないのに心がバラバラに分離しそうで気持ち悪くなる時は誰でもあると思います。そのため、それを察せず、自分の論文など自分勝手な話を続けていたレーンには憎悪を感じました。ゾーイもレーンと同じように理屈めいて見えるけれども根本的に違うのは上っ面だけで論をこねくり回しているのではないという点でしょう。2011/10/19

蛇の婿

46
作中、フラニーの影響された本に出てくる、仏教的な哲学をキリスト教に応用した宗教観がとても面白く感じました。…グラース・サーガのうちの一作、ということで、これはちょっとサーガの他の作品も読んでみたいと思います。仏教に限らず、作中に引用されるアジア的な物の考え方、受け取り方もなかなか深いものがあります。読後、この作品の主人公、フラニーとゾーイーに強い影響を与えた、長兄についての物語がすごく気になってしまうのも、きっと私だけではないに違いありませんww2012/07/29

めしいらず

45
他人の虚飾を看過できない潔癖さ。相手の美点よりも詮ない粗探しにかかりきり。彼らの嫌な部分への軽蔑が、知らず彼ら本人にまで向けられる罠。彼らを語る時にどんな表情をしているかを自分では気づけない。相手が何を目指そうと彼ら自身の課題。立ち入れば軋轢だ。自信ない者は己を様々に飾り立て易い。めくじら立てることじゃない。自分を含めて完璧な人などいないのだ。些末な嫌悪に囚われ気付かぬ内に相手まで嫌うのは、その人がいない世界を願うような悪しき態度だ。そんな最低な考え方は自分を最低な人間にするだろう。自意識は斯様に猛毒だ。2022/12/23

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