内容説明
「絶対音感」とは音楽家に必須の能力なのか?それは音楽に何をもたらすのか―一流音楽家、科学者ら200人以上に証言を求め、驚くべき事実を明らかにする。音楽の本質を探る、ベストセラーノンフィクションの文庫決定版。
目次
プロローグ 書き換えられた自伝
第1章 人間音叉
第2章 形見の和音
第3章 意志の刻印
第4章 幻想狂想曲
第5章 失われた音を求めて
第6章 絶対の崩壊と再生
第7章 涙は脳から出るのではない
第8章 心の扉
エピローグ バラライカの記憶
著者等紹介
最相葉月[サイショウハズキ]
1963年、東京生まれ。3歳から25歳まで神戸に住む。関西学院大学法学部法律学科卒業後、会社勤務を経てフリー編集者兼ライターとして独立。科学技術と人間の関係性、スポーツ、教育などをテーマに執筆活動を展開。著書に『絶対音感』(小学館ノンフィクション大賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鉄之助
285
絶対音感を天才能力のひとつ、とばっかり思っていたが、そうではなかったようだ。日本では昭和初期から、絶対音感教育を提唱する人がいて、幼い時から英才教育。その才能を、なんと軍事利用までしていた! 優れた音感を生かし「潜水艦の型式や進行方向を聴き分けていた」という。目からウロコの歴史秘話だった。 2022/09/14
おいしゃん
60
【小学館ノンフィクション大賞作品】大賞にふさわしい、力作。五嶋親子をはじめ、錚々たる音楽家への取材や、14ページにわたる参考文献リストからも、絶対音感が持つ「曖昧さ」に迫る著者の意気込みが伝わってくる。2017/04/30
パフちゃん@かのん変更
57
昔、子供の音楽教室に絶対音感がある子がいて、幼稚園児だったのですが音が下がった録音テープ(昔はテープだった)で「エリーゼのために」を聞いて聞こえた通り半音下げて弾いた、とその母親が言っていました。天才!と思いましたが絶対音感を持っていたのですね。私は義務教育の場に長くいたので移動ド唱法に慣れています。合唱団の指導も移動ドだった。でも絶対音感のある人達は移動ド唱法はイヤでしょうね。絶対音感があっても日本標準の440HZと外国の442HZではまた違うし、平均律かそうでないかも違うらしい。音楽の世界は難しい。2017/02/16
佐島楓
42
絶対音感とは何か。言葉は耳にしたことがあっても、具体的にどういうものかピンとこないかたもいらっしゃるのではないだろうか。この本はその本質に迫り、音楽とは何か解き明かそうと試みたものである。早期教育において得られた絶対音感はテクニックではないのか、音楽とはそもそも読んで字のごとしではないのか、など、いろいろと考えさせられた。私も今思うと幼いころ絶対音感の教育を受けましたが、ちょっと耳が良くなったくらいでここに出てくる方の足元にも及びません。一流の方は当たり前だけれどレベルが全然違うな。2014/06/09
James Hayashi
36
小学館ノンフィクション大賞受賞作。絶対音感とは絶対不可欠なものではない。有名な音楽家であろうと、絶対音感を持たない人もいる。あれば有利であろうが、音楽家になる人以外に使い道はあるのであろうか?好不都合の両面が見える点はいいが、音楽など理論より実践であろう。そういった意味で佐渡裕や五嶋みどりの経験を読んでいる方が面白かった。本の内容とは関係ないが、今後AIもこの分野は駆逐できないであろうと感じた。2019/12/17