新潮文庫
気晴らしの発見

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 188p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101435213
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0177

内容説明

心の不調なときにこそ、人は心の謎に近づくのかもしれない―。突然始まった不眠に続き、手足のしびれ、呼吸と心拍の異常、寒気などの強度のストレス症状にとまどい苦しむ「私」。ストレスから抜け出そうとする試み自体が、またストレスとなる堂々めぐりの日々の果て、思いがけず「私」が辿り着いた場所とは。健康と不健康のあやうい境界に立った者だけが知る、心の新たな地平を探る。

目次

第1章 いかにも病気である日々
第2章 気晴らしとコレステロール
第3章 気晴らしの演習(イッセー尾形の効能―ハードな演習;味覚の復活―ソフトな演習 ほか)
第4章 青空の出現
第5章 気晴らしの日々

著者等紹介

山村修[ヤマムラオサム]
1950(昭和25)年、東京生れ。慶応義塾大学文学部卒。私学職員を務めながら、読書と文筆にいそしむ
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ホークス

26
書評家山村修氏はある日突然、酷い不眠とストレスに支配される。 切実で鬼気迫りながら、トボけた味もある不思議な闘病エッセイである。九鬼周造の「人間は皆、無の深淵の上に壊れやすい仮小屋を建てて住んでいる」の言葉が悲痛に響く中、発見した対策は「気晴らし」だった。なんだと思われそうだが、自分が没入できる気晴らしを見つけるのは大変だ。何が効くかの因果関係は分からず、関係なさそうな事が有効だったりする。様々な本からの引用、詩の様な嘆き、交錯する論理と直感が面白く、しかも段々切なくなる。2017/10/05

かやは

11
早期覚醒に悩まされる著者が、人生のレバーを自分自身で握っていると思えるようになるまで、色々対策をしていく一冊。気持ち良い、美味しい、暑い、寒い。感覚をきちんと感じることの大切さを改めて思った。苦しみを苦しみのままぶちまけるのではなく、こうやって作品として昇華することは素晴らしいなあと思う。客観的に自分を見て、クスッと笑える余裕を持てると良い。決して蔑むような冷笑ではなく、しょうがないなあという感じで認めてあげる。私は、自分自身の人生を何とかしようと努力している人が好きみたいだ。2018/05/29

Hiro

2
著者の鋭い書評集は何冊か愛読してきた。本書はいわゆる身辺エッセイ、でもやはり読書人らしく読んだ本の引用が多い。そして本書のテーマ、ストレス、そしてその結果と思しき身体の異常、早朝覚醒とコレステロールの過剰。これは私も50を過ぎて以降現在まで著者と同一ではないが若い頃にはなかった様々な身体の変化を感じているのでかなりよく分かる話だった。眠りが浅くなり、朝寝ができなくなったとか。著者のように私も今までは思っても見なかったような意識の仕方で生活のある部分を見直している過程にいるのだと、本書を読んで改めて気付く。2021/09/29

YukoNexus6

2
2000年の出版だから、ストレス性の早朝覚醒(地獄のような不眠)に高脂血症に苦しんだ著者の「気晴らし」集なんだけど、いまなら完全うつ病判定だろうなぁ。「気晴らししたくても、その気晴らしをする力が湧いてこない」のがうつの最も苦しいところだけれど、それでも毎回私も工夫しているよ---テレ東の旅番組見てるときだけは、起き上がっていられる。。。とか〜。ずばり名著です。2014/06/28

eckhart88

1
C+:これ実は結構変な本です。若干奇書の類といってもいい。なんというか、なんだろう、学問的省察と不思議な語り口で淡々と話題を広げていくのですが、説明しにくいふわふわとした雰囲気が漂っている。私はこれを寿命一か月も保たない父を一人で介護している時に眠れずに読みましたが、ふわふわと不定形な包容力のあるこの本を毎夜寝る前に読むことで癒された部分はあります。良い本とは諸手をあげては言えませんが、不思議な本でした。2023/12/23

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/11301
  • ご注意事項