新潮文庫
魂の森を行け―3000万本の木を植えた男

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  • サイズ 文庫判/ページ数 253p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784101427225
  • NDC分類 289.1
  • Cコード C0161

内容説明

生き物は嗅いで、なめて、触って調べろ。過酷な地質調査で自らを鍛えた若き日のドイツ留学で、「潜在自然植生」に基づく森林再生術を習得した植物生態学者・宮脇昭。78歳のいまも効率優先の植林が引き起こす、地球規模の森林崩壊をくい止めるため、植樹指導に奔走する。いのちを守る鎮守の森を取り戻すべく、ゆるぎない信念で前進する男の破格な人生を描く傑作ノンフィクション。

目次

プロローグ 魂の森をつくる男―混ぜる、混ぜる、混ぜる。好きなやつだけ集めない
1章 雑草をめぐる旅―神は貧しき者にも、王様にも同じように24時間365日を与えている
2章 本場ドイツへの留学―目で見、匂いを嗅ぎ、なめて、触って調べろ
3章 学会への挑戦―人間が本当の英知を持っているなら、その欲望の極限より少し手前でおしとどめるべきである
4章 森づくりの萌芽―本だけに頼るな、研究室でどうこう考えるな、まずは現場に行け
5章 『日本植生誌』への挑戦―何百年も何千年もその土地の人々と生きてきた土地本来の森が一番大事なのではないか
6章 「ふるさとの森」再生―死んだ材料は時間とともにダメになる
7章 阪神・淡路大震災と「鎮守の森」―都市の周りの森林を破壊したとき、その文明は破滅させられ、その周りは砂漠化していく
8章 神宮の森を歩く―過去も夢、未来も夢、いまこの瞬間生きていることだけは事実
9章 ボルネオ 熱帯雨林の再生―環境問題はひとつのことでは解決しない。みんなが少しずつ我慢する、それしかない
エピローグ 新たな情熱と狂気―本気になってできないことはない。本気で登れ

著者等紹介

一志治夫[イッシハルオ]
1956(昭和31)年長野県松本市生れ、東京・三鷹育ち。月刊「現代」記者などを経て、ノンフィクション作家。1994(平成6)年『狂気の左サイドバック』で小学館ノンフィクション大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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hatayan

43
人間が住む前の本来の自然の植生を調べる「潜在自然植生」の研究に生涯を捧げた宮脇昭教授の評伝。雑草の研究を振り出しにドイツに留学。自然保護の考え方が生まれる前から富士山スバルラインの植生の回復、製鉄所内の森づくりで頭角。神社の境内の「鎮守の森」こそ土地本来の森であるとして千年の森づくりに着手し、万里の長城、ボルネオ島などで森の再生に活躍します。「貧しい者にも王様にも等しく与えられた24時間365日をどう使い切るか」宮脇教授が脇目を振らずに研究に没頭したのは、青年の頃に悟った体験が原点だったことが記されます。2020/04/13

今庄和恵@マチカドホケン室/コネクトロン

5
これは胸熱だった2016/06/20

シン

4
面白かった。尊敬に値するすごい人が、自分が知らないだけで色んなところにいるものだと、この手の本を読むたび思う。2006/12/21

in medio tutissimus ibis.

2
なんとなく途中から脳内で『神々の山嶺(漫画版)』風の映像が流れだす。『風立ちぬ(ジブリ)』でもいいし、『シグルイ』でもよかったかもしれない。正気にては大業ならず。学業とは死に物狂いである。2019/06/17

とこまた

2
似非エコロジストを自称している私。日本の雑木林、里山が二次林であることは知っていた。そしてこれら二次林はエネルギー革命以降再生不能なんだと理解していた。要は私らごときちっぽけな人間の労力じゃ管理しきれないので諦めていたということ。けれどこの本の主役宮脇氏は、その土地本来の森(潜在自然植生と呼ぶそうだ)が再生し存在しうるということを実践してこられたという。まだ存命なのか、エナジーをわけてもらいたい。講演が聴きたい。2010/07/25

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