内容説明
頭を打ってすべてを忘れてしまった熊が探しはじめたのは、愛するパートナー、レディベアだった。彼女は乱暴だったけど、熊はそんな彼女に会いたかったのだ―動物世間のよもやま話に奇妙で不思議な現実がみえ隠れ、これって、私たちのこと?生き物世界の不条理がキュンと胸にしみる、シュールで痛快、スパイシーな7つの寓話集。イラスト全14点収録。話題のベストセラーを文庫化。
著者等紹介
安東みきえ[アンドウミキエ]
1953(昭和28)年、山梨県生れ。1994(平成6)年「ふゆのひだまり」で小さな童話大賞大賞を、「いただきます」で、同選者賞今江祥智賞を受賞。2000年刊行の『天のシーソー』で、椋鳩十児童文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
386
帯に梨木香歩の推薦文「胸のすくような思いと驚きは忘れられない」とあったので購入。安東みきえの作品は初読。表題作を含めて7つの短篇を収録。いずれもナンセンス童話といった趣き。ただし、子ども向きであることは全く意識されていないと思われる。篇中では、やはり表題作が一番できがいいようだ。結末部の数行の惚け具合が絶妙である。他の6篇のいずれも、それぞれにどこかズレていて、それが軽妙な可笑しみを誘う。深刻ではない、しかしひょっとすると深淵であるかもしれない生の営みを語っている物語。2024/02/11
しんごろ
264
動物達の不思議でシュールで、ちょっとブラックな感じの寓話集!童話でないですね。あくまで寓話!そう感じる作品ですね。人間でなく動物だからこその作品で、楽しく読めました(^^)いくつかかわいいというか、魅力というか、素敵な表現の描写もあり、最後の話でなにかほっこりしたというか、スッキリしました。いくつかの寓話は、ちょっと落語で聞いてみたいとも思いました(^^;)2017/05/07
pino
149
困った時は、月やぬいぐるみやペットに「うまくいきますように」とお願いした。でも、返事はくれないし、解決もしない。あんなのは、絵本や漫画の中だけだね。と、私は自分の事を棚に上げて「ふんっ」と思った。少し大きくなって、自分を恥ずかしく感じ始めた。「なんて、おばかなんだ」と。それを隠すために考えついたのが、ネコを被る方法だ。も少し大きくなって実行した。初めは良かったが、ネコを脱ぐタイミングをのがし、一年程、苦しかった。あるキッカケでネコは脱げた。この話の動物たちが懐かしく思えた。ありがとうみんな。そして、ネコ。2012/10/02
舟江
119
私の頭の中にないジャンルの本。ブラックユーモアなのか前衛作品なのか大人の寓話なのか。まあ、そこそこ面白かったのだから、あまり追求しないでおこう。2019/08/09
りゅう☆
107
私の結婚も表題作に納得!なんて冗談思ったり、生きるためには可哀想と思っても『いただきます』しないといけないし、『ないものねだりのからす』の口悪さの自己嫌悪姿にちょっぴり共感したり、自由な『池の中の王様』が広い世界を感じれたり、みんなの悩み聞いてた『りっぱな雌鹿』がぷちーんとキレた瞬間に解放感を感じ、熊と『お客さまはお月さま』の切り離せない関係が微笑ましかったり。動物や虫が登場して可愛らしいが、ブラックなユーモアや回避することのできない自然界の掟の残酷さも描かれて、いい意味で想像したのとは違った物語だった。2017/04/15