内容説明
失恋の痛みと、都会の疲れをいやすべく、ふるさとに舞い戻ったほたる。大きな川の流れるその町で、これまでに失ったもの、忘れていた大切な何かを、彼女は取り戻せるだろうか…。赤いダウンジャケットの青年との出会い。冷えた手をあたためた小さな手袋。人と人との不思議な縁にみちびかれ、次第によみがえる記憶―。ほっこりと、ふわりと言葉にくるまれる魔法のような物語。
著者等紹介
よしもとばなな[ヨシモトバナナ]
1964(昭和39)年、東京生れ。日本大学芸術学部文芸学科卒。’87年「キッチン」で「海燕」新人文学賞、’88年単行本『キッチン』で泉鏡花文学賞、’89(平成元)年『TUGUMI』で山本周五郎賞をそれぞれ受賞。海外での評価も高く、イタリアのスカンノ賞、フェンディッシメ文学賞を受賞。『アムリタ(上・下)』(紫式部文学賞)、『不倫と南米』(ドゥマゴ文学賞)など著書多数。2002年8月の『王国その1 アンドロメダ・ハイツ』刊行より、「吉本ばなな」から「よしもとばなな」に改名した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ミカママ
316
やさしい喪失と再生の物語。「無理をしてはいけない。無理が、すべての悪いことを生み出す」ニューエイジ・新興宗教的なモノとは相性悪い私でも、「バスターミナルの神様」のおばあさんには、話しをきいてもらいたかったなぁ。元気のないときに読むときっと少し光が見える、そんな作品です。2016/09/11
しんごろ
270
傷心の女性がふるさとに戻って、再生していく話!ばななさんワールドの向こう側にいったような話というか、不思議な話というか、おとぎ話というか…ばななさんワールドがすごかった(^^;)そして圧倒的なほっこり感に心地よさを感じました(^^)いつも思うのですが、ばななさんの作品の登場人物達の会話が、ほっこりして、和み、癒してくれます!面白かったです(^^)また読むときには、BGMにWilson Phillipsがハマる気がします(^^;)2016/08/26
おしゃべりメガネ
191
とにかく‘あったかい’作品でした。数年にわたる愛人生活に終止符をうち、故郷にふらりとあてもなく帰郷した主人公「ほたる」が不思議な喫茶店を営む元気いっぱいの祖母とふんわりと暮らす生活はホントにココロが和みます。そんな中、これまた不思議なラーメン屋を営む「みつる」君が登場してからは、よりいっそう人間の温かみが描かれ、ゆっくりとした大きな感動がさざ波のように訪れてきます。そして何より物語をひきしめ、味わい深くしてくれているのが、旧友の「るみちゃん」で、やっぱり「友達」は大切だなぁと改めて思わせてくれました。2015/06/16
❁かな❁
190
心が沈んでいる今こそ読むべきかなと思い読んでみた。失恋をし、ふるさとに戻った主人公ほたる。久々の再会、忘れていた大切な記憶、不思議な縁を感じる出逢い…。少しずつ私の心に沁みわたる。あとがきに書かれているがそんなことでこんなに弱っている自分が情けないって気持ちの時に読むのにいいと思う。弱っている心を優しくそっと包み込んでくれる。無理しなくてもいいんだと思えた。みつるくんのラーメン食べたいな。「人の、意図しない優しさは、さりげない言葉の数々は羽衣なのだと私は思った」ふわっと優しさに包まれて癒される素敵な作品。2018/10/30
ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中
155
悲しいときに寄り添ってくれるものを探してた。他とは違う輝きを放っていると信じて。でもほんとはずっとそこにいたなんてまるで青い鳥。川の流れは絶えずそこにある、どうして信じられるのだろう、信じてしまう。安心してしまって永遠にたゆたう。 さらさらと意識もしていないちいさなおと、きらきらとゆれる水面。脳裏に染み込んだ記憶たちはきっと私を生かす。そしてからだは意識してなくても心を支えている。焦らずしっかりと、いつでもどこかで踏ん張っているためにも、からだをだいじにするということ。ハゴロモハゴロモ。2020/11/07