内容説明
発展の望みを絶たれ、憂鬱なムードの漂うニュータウンに暮らす一家がいる。1歳の息子を突然失い、空虚を抱える夫婦がいる。18歳で結婚したが、夫にも義母にもまともに扱ってもらえない若妻がいる…。3組の家族、ひとりひとりの理想が、現実に浸食される。だが、どんなにそれが重くとも、目をそらさずに生きる、僕たちの物語―。「カラス」「扉を開けて」「陽だまりの猫」。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あつひめ
65
家族。家族ってすごく簡単にひしゃげる関係なのかなと思った。ガッチリと組み合った関係ではなくそっと寄り添うことで、心の隙間が簡単にできちゃうんだな…と思ってしまった。世の中にはたくさんの家族がいるのだから、そんなことはないというかもしれないが、大切な人を失うことは、きっと自分の心も失うのかもなぁ…とまだ体験したことのない未知の世界を想像してみた。死という、またね〜と言えない別れ。時が治してくれることはないかもな。もしも自分が…と登場人物に自分を当てはめてしまったから、心の重たい読後となってしまった。2017/05/07
はらぺこ
51
嫌な気分のまま読み終えた。あとがきを読むと『見張り塔からずっと』の意味が分かった気がするので救いの無い話にも納得・・・かな。 結婚とか家やマンションの購入を考えてる人は読まん方がええと思う。人生はバラ色ばかりやなくて、こんな事が起こる可能性もありますよーって事で予習を兼ねて読んでみたらええかも。自分は結婚相手もおらんのにマリッジブルー状態になってしまったけど・・・。 2011/04/12
ちゃんみー
50
小説家として駆け出しの頃の重松さん作品でした。家族がテーマなのは昔からなんですね。人の暗の部分にスポットを当てた3編でした。氏の作品は悲しくなり家族のいる幸せを感じたり、何につけやる気にさせてくれるお話が多い中、これは気持ちが落ち込むだけでした。これも真実の人の気持ちを綴ってますから、ハッピーだけの結末じゃないってのはかえって真実味がある感じではありました。2016/02/22
まさきち
42
共感できる物悲しさに満ちていて引き込まれるけどそれ以上に登場する人物たちへの嫌悪感を感じてしまい今ひとついい読後感を得られなかった作品。2014/03/22
はる
35
家族の形っていろいろあるよねえ。それにしても今回の読後のこの重さ。悲しいなあ。2020/09/20