内容説明
勤務先の病院を出た高木真知子が拳銃で撃たれた!やがて明らかになってゆく、水沢裕之の孤独な半生。合田はかつて、強盗致傷事件を起こした彼と対面していたのだった。獣のように捜査網をすり抜ける水沢に、刑事たちは焦燥感を募らせる…。アイゼンの音。荒い息づかい。山岳サークルで五人の大学生によって結ばれた、グロテスクな盟約。山とは何だ―マークス、お前は誰だ?―。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
140
後半は読みやすい気がします。一度読んでいてまた映画も見ているのでわかってはいるのですが、最後近くの遺書での内容が明らかになってすっきりという感じです。この中の5人のうちの弁護士の一人がやはりよくわからない人物ですね。本当の悪人なのかもしれません。この人物を悪の主人公として書いてくれないですかね。次はレディ・ジョーカーを再読しますかね。2018/02/07
ちょろこ
125
“夢中”を味わった、一冊。下巻はとにかく読まされた。あっという驚き、予想外が仕掛けられた展開、作品も良いけれど、小さな一つ一つの点が次第に繋がり線になり…という地道な過程を描いていく作品はやっぱり好き。真実を秘めたマークスという山が近づく、真実という山頂に一歩ずつ近づく時間は合田刑事の白いスニーカーと共にしばし心に“夢中”という足跡を残していく感覚を味わった。彼ら二人の世界、明暗の山に抗えない人生。それらが虚しさとせつなさのかけらとなって最後は一気に静寂と共に心に降り積もった。良き作品。2019/12/04
小梅
123
水沢と真知子は、お互いにお互いを必要としていたんだな…加納と会田の微妙な距離にドキッとした。解らない部分もあるが、全く気にならず読了。水沢のラストシーンが脳裏に残る。高村薫作品は3作目だが、女性作家とは思えないタッチが私は好きです。読メに居なければ読む事はなかった作家さんだと思うので、読メに感謝です。2016/09/04
優希
51
連続殺人の真相が明かされると思えば、獣のように捜査の合間をすり抜けていくのがハラハラさせられました。マークスの正体も明かされず、突如物語は終わるのが怖いところでした。2024/03/16
アリ子
45
とても読み応えがあった。登場人物が覚えられないのでメモを取りながら読んだのだけど、時系列もややこしいので年譜も欲しくなった。木原とか林原とか、松井とか野村とか、林とか森とか、木の人がたくさん登場。2015/06/18